米国とイスラエルによるイラン攻撃を受け、世界株安が進んでいる。4日の日経平均株価終値は、前日比2,033円 (3.6%)安の5万4,245円だった。

2月末の終値と比べると、下げ幅は3日間で4,600円を超えた。日本株はこの先どこまで下がるのか。今後の市場見通しについて、専門家に聞いた。


日経平均、3日連続大幅安。下値メドは?中東危機長期化、複合シ...の画像はこちら >>

日経平均は5万2,000円程度で調整一巡か

パラソル総研執行役員副社長兼フェロー・倉持靖彦氏

 株安の要因は、複数のリスク要因が重なり投資家の利益確定売りが強まったためだ。米大手投資ファンドの解約停止問題や英国の住宅ローン会社の破綻を受け、クレジット市場への警戒感が広がったこと、米国がイランとの核交渉中に攻撃に踏み切ったことが市場にとってサプライズと捉えられたこと、韓国や台湾、日本などで半導体関連株に過熱感があり、その反動が懸念されていたことなどが主な理由だ。


 中東情勢では、イランの新しい指導者が明確でないことや、戦闘が1カ月程度続く可能性があることなども不安材料となっている。


 米国株が更に下落し、市場の不安を示すVIXが急上昇した場合、多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種指数は6,500pt程度に下落するとみている。過去の株価の落ち込み方や、株価のトレンドを示す「200日移動平均線」、予想PER20倍といった目安が重なるためだ。


 米国株の下落見通しと連動して考えると、日経平均は5万2,000円程度、東証株価指数(TOPIX)は3,400pt程度まで下がるだろう。この水準は急騰前の予想PER16.5倍(TOPIX)という割安な水準に戻ることや、チャート上の節目にも一致するため、このあたりで株価の調整が一巡しやすい。


 中東情勢の落ち着きによる原油価格の安定化、クレジット市場の落ち着きによる金融株の反発、株価が下落することにより、調整一巡感が醸成されることなどが合わされば反転上昇となるだろう。


 今後の中東情勢は、特にイラン新指導部の行方とホルムズ海峡の封鎖状況に注目だ。原油価格の動向は、世界のインフレや金融政策の行方にも大きく影響する。

目先のイベントとしては19日予定の日米首脳会談、3月末~4月初め予定の米中首脳会談にも注目したい。


事態が長引けば、5万円下回る展開も

楽天証券経済研究所シニアマーケットアナリスト・土信田雅之

 軍事衝突に発展したイラン情勢を受けて、日経平均が急落している。今後の展開については、「どのくらいで事態が収束するのか?」という時間軸がカギを握る。


 武力による応酬の停止をはじめ、イランの統治体制や核開発・保有の放棄、原油・LNG価格の落ち着きなどをポイントに、短期間(1カ月から3カ月以内)で収束する見込みとなれば、「影響は一時的」という判断で、株価は反発していくと思われる。


 反対に、事態が長引きそうな状況となれば、原油価格の上昇がもたらすインフレや景気減速懸念、そして、リスクオフムードによる安全資産への回避など、これまでの相場見通しの前提(堅調な景況感や企業業績の回復基調など)が崩れることになるため、あっさり5万円台を下回る展開も想定しておく必要が出てきそうだ。


 現時点では、トランプ米大統領が今回の軍事作戦の期間を「4週間程度」としており、まずは75日や13週といった移動平均線、5万2,000円水準あたりまでを下値の目安として、今後の行方を見守っていく動きが想定される。


 イラン情勢の裏では、米国を中心とした「プライベートクレジット(銀行を介さない投資ファンドによる企業融資)」の問題も浮上しており、こちらの動きにも注視する必要がありそうだ。


(トウシル編集チーム)

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