今日のレポート内容は、中・上級者向けです。日経平均先物についてあまり詳しくない方は、以下の結論だけお読みください。


【1】3月27日までの日経平均先物(6月限)は、日経平均より約230円低い水準で推移する。
【2】先物が230円低くても、それは先安感を表すわけではなく、ただ理論値どおり、値がついているだけである。


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日経平均先物の夜間取引は、翌日の日経平均を先取りすることもある

 朝、東京証券取引所が開く前に、「CME日経平均先物が(前日の日経平均終値と比べて)大幅安」というニュースを聞くとヒヤリとします。その日の日経平均株価が大幅に下がって始まることが多いからです。


 逆に、「CME日経先物が大幅高」と聞くと期待が高まります。その日の日経平均が大幅に上昇して始まることが多いからです。


 通常、日経平均先物(期近)の理論値は、日経平均株価とほぼ同値です。従って、「CME日経先物が、(前日の日経平均終値より)230円安い」と聞くと、「今日の日経平均は230円くらい下がって始まる可能性がある」と解釈する人が増えます。普通は、その解釈でOKです。


 例外として、3月13日(3月のSQ)から3月27日(3月の権利付最終売買日)の間に日経平均先物(6月限)を見る場合だけ、見方が異なります。「約230円下でCME日経平均先物(6月限)の値がついていれば、当日の日経平均は上がりも下がりもしないで始まる可能性が高い」と解釈されます。


百聞は一見にしかず、実際の値動きを見てみよう

 それでは、3月17日の日経平均先物(6月限)の値動きを、日経平均と一緒に見てみましょう。


<日経平均と日経平均先物(6月限)の日中足:2026年3月17日9:00~15:30>
CME日経平均先物が安い朝、慌てないで!3月末だけ起こる「ズレ」の正体(窪田真之)
出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 ご覧いただくと分かる通り、株式現物と日経平均先物の売買が両方ともできる時間帯(9:00~11:30、12:30~15:30)、日経平均先物(6月限)は日経平均よりも常に約230円低い水準で推移しています。


 これを見て、「日経平均先物(6月限)に日経平均の先安感が表れている」という誤った解釈をしないようにしてください。

日経平均先物(6月限)は、理論値通り値がついているだけです。


 3月の配当金の権利付最終売買日である3月27日まで、この状況が続きます。ただし、配当金の権利落ち日である3月30日以降は、日経平均先物(6月限)は、日経平均とほぼ同値で推移するようになります。


これだけ覚えてください!二つのポイント

 少し難しくて、分かりにくい話になっているかもしれません。すみません。難しい理屈はどうでもいいですが、とにかく、以下二つのポイントだけ、覚えてください。


 以下2点だけ頭に入れていただければ、後半の説明は難解ですが、分からなくても問題ありません。


<ポイント1>日経平均先物6月限の理論値は、3月27日までは、日経平均の値を約230円下回る。その間、先物が日経平均より230円低い水準にあっても、それは、先安感を表すものではない。


<ポイント2>日経平均先物6月限の理論値は、3月30日以降は、日経平均とほぼ同値となる。3月30日以降は、先物と日経平均は、ほぼ同じ価格で取引される。


 今日は、先物の値動きが上記のようになる理由を、解説します。「なぜ、そうなる?」まで、きちんと勉強したい方は、以下をお読みください。


3月決算の配当金の権利落ち(予想額)は約230円

 3月27日まで、日経平均先物(6月限)は、日経平均よりも約230円、低い水準(価格)というわけです。その理由は、3月決算での配当金にあります。


 日経平均(現物)と連動する銘柄を保有していると、3月決算の配当金の権利落ち日(今年は3月30日。これ以降に買っても当期配当の権利がつかない)に、配当金を受け取る権利が確定します。ところが、日経平均先物(6月限)を買い建てしていても、3月配当金を受け取る権利は得られません。


 3月末基準の配当金は、約230円と予想されています。従って、日経平均先物(6月限)は、日経平均(現物)よりも、230円低い値段が付くのです。


 ところが、3月30日以降は、日経平均と先物(6月限)は、ほぼ同値で売買されることになります。3月27日までに日経平均(現物)を買えば、3月末基準の配当金が得られますが、権利落ち日の3月30日以降に買っても、配当金は得られません。3月30日以降は先物を持っていても、現物を持っていても、3月末基準の配当が得られないのは、同じです。


 従って、3月30日から6月11日(先物6月限の最終売買日)まで、日経平均先物(6月限)を保有しても、日経平均を保有しても、どちらも3月配当金が得られないという点で、同じになります。従って、3月30日以降は、両者はほぼ同値で推移することになります。


<参考>日経平均先物(6月限)の理論値の計算方法

 詳しい説明は割愛します。

概算値を出す計算式を掲載します。


(日経平均先物6月限理論値)=(日経平均の値)-(6月11日まで日経平均現物を保有することで得られる配当金予想額)+(日経平均現物を購入するのに必要な現金を6月11日まで短期金融市場で運用した時に得られる利息)


 現在、短期金利は低いので金利要因はあまり大きくありません。一方、3月の配当金はかなり大きいので、その差が約230円の値幅を生じています。


 東京市場の取引時間中は、日経平均先物が理論値から大きくかい離しにくい傾向があります。かい離すれば、裁定取引が入り、先物はおおむね、理論値の近くに維持されることが多いです。


 ただし、東京市場の現物取引時間が終了すると(15時30分以降)、日経平均先物は理論値からかい離して動くようになります。裁定取引が入らないので、大引け後のニュースに反応して、日経平均の理論値から離れて動きます。


(窪田 真之)

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