2026年度の日本株相場は、「どちらに動くか」ではなく「どの分岐に入るか」を見極める一年となる。今回は、「円高転換と内需優勢のシナリオ」をメインシナリオとして5銘柄を紹介する。


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2026年日本株相場は、「当てる」よりも「備える」

 日本株が歴史的な上昇を見せた2025年度もそろそろ終わりを迎え、2026年度相場がスタートします。2026年度を展望する上で重要なのは、「当てること」ではなく「備えること」です。


 中東情勢の不透明感によって、3月の日本株は軟調推移ですが、2026年3月19日時点の2025年度日経平均株価のパフォーマンス(2025年4月1日を起点)は+49%、東証株価指数(TOPIX)は+35%と、2023年度(日経平均:+43.2%、TOPIX:37.2%)と同様に高水準で推移しています。


 相場は「上昇と下落」を繰り返します。2026年度は「2025年度同様の高いパフォーマンスを残す」というよりも「2024年度(日経平均:マイナス10.5%、TOPIX:マイナス2.2%)」を意識しておいたほうがいいでしょう。


円安トレンドに変化?内需株に注目

 では、2026年度の市場は何が変わるのか。2026年度は、全ての前提となる「為替」と「政策」に注目します。


 米国ではインフレ率は低下基調にあるものの、サービス価格の粘着性は依然として強いほか、原油価格上昇などによって、利下げのタイミングは市場の期待より後ろ倒しとなる可能性があります。


 一方、日本では賃上げの定着を背景に金融政策の正常化が段階的に進むとみられます。こうした環境下では、日米金利差の縮小が意識され、これまで続いてきた円安トレンドに変化が生じる可能性があります。


 2025年度も日米金利差は縮小し続けましたが、高市政権による「責任ある積極財政」に対する円安進行といった投機筋の読みによって、為替は円安水準で推移していました。


 2026年度は、想定以上に強かった春闘の結果などを踏まえ、日本銀行がタカ派姿勢を強めることで、結果として中長期的な円安トレンドが転換するとみます。


 加えて注目すべきは、6月に公表される「経済財政運営と改革の基本方針」いわゆる「骨太の方針」です。


 ここでは、財政運営の方向性や賃上げ政策、投資促進策などが示され、日本経済の中期的な成長ストーリーが再定義される可能性があります。

特に、国内投資の強化や成長分野への資金誘導が明確になれば、内需株や政策関連銘柄への評価が見直される局面も想定されます。


 為替と政策、この二つの分岐点が重なることで、日本株の物色構造が変化する点は押さえておく必要があります。


 円安が継続する場合には、輸出関連やインバウンド関連が引き続き優位となります。一方、円高に転じる場合には、内需株やディフェンシブ銘柄への資金シフトが起こりやすくなります。為替は全ての資産価格に影響を与える土台であり、最も重要な分岐点といえるでしょう。


転換期に備える投資戦略~守りと成長のバランス日本株5選

 前述した分岐点を踏まえると、投資戦略はシナリオごとに整理しておくことが有効です。例えば、円安継続かつAI投資が拡大するシナリオでは、外需株や成長株が優位となります。


 一方、円高転換や投資減速のシナリオでは、高配当株や内需ディフェンシブ銘柄が相対的に安定したリターンをもたらすと考えられます。


 重要なのは、どのシナリオが正しいかを当てることではなく、「どのシナリオになっても対応できる状態」をつくることです。相場は常に不確実性を内包していますが、分岐点を意識することで、その不確実性をコントロールすることが可能になります。


 2026年度は、為替、政策、テクノロジー、そして制度の変化が交差する転換期となる可能性があります。だからこそ、「当てる投資」から「備える投資」。この発想の転換こそが、これからの市場環境において最も重要な視点になると考えます。


 従って、2026年度の投資は「前提が変わること」を理解し組み立てる必要があると考えます。


 つまり、2026年度は「円高転換と内需優勢」を前提にポートフォリオを組み替えるタイミングとなる可能性があります。こうしたシナリオを踏まえた「守りと成長のバランス銘柄」を5銘柄ご紹介します。


銘柄名 証券コード 株価(円)
(3月25日終値) 特色 JT(日本たばこ産業) 2914 5,950 高配当×無煙化で構造転換期待 神戸物産 3038 3,513 節約需要をとらえる低価格成長株 ソフトバンク 9434 220.2 成長×株主還元の両輪に期待 ニトリHD 9843 2,679.5 円高メリットの内需主力株の一角 サンドラッグ 9989 3,931 生活防衛需要で伸びる安定株

JT(日本たばこ産業:2914)

 高配当利回りと安定したキャッシュフローを特徴とするディフェンシブ銘柄です。中長期的な成長の鍵を握るのが無煙たばこ分野です。主力の紙巻たばこは数量減少が続く一方、加熱式たばこやオーラル製品といったリスク低減製品(RRP)へのシフトが進んでいます。


 足元では値上げ効果により業績は堅調に推移していますが、数量ベースの減少を補うためにも無煙たばこの拡大は不可欠な戦略となっています。


 特に海外市場では加熱式たばこの普及余地が大きく、競合である フィリップ・モリス・インターナショナル(PM) などとのシェア争いが注目されます。


 今後の焦点は、無煙たばこの収益化の進展とブランド力の確立です。従来の高配当銘柄という位置付けに加え、「構造転換銘柄」として評価できるかが中長期の株価を左右すると考えられます。


神戸物産(3038)

 低価格商品を取り扱う「業務スーパー」を展開しており、景気環境に左右されにくい独自のビジネスモデルを持っています。自社輸入・自社製造を組み合わせることでコスト競争力を高め、低価格帯の商品を安定供給できる点が強みです。


 足元の業績は、節約志向の高まりを背景に堅調に推移しており、来店客数の増加とプライベートブランド(PB、自主企画)商品の拡販が売上を支えています。


 また、為替の動向も重要で、円高局面では輸入コストの低下が利益率改善につながる可能性があります。

既存店の成長に加え、出店戦略と商品開発力を背景に、インフレや景気減速といった環境下でも需要を取り込める銘柄として注目します。


ソフトバンク(9434)

 国内通信事業を中核に、安定したキャッシュフローと高配当を特徴とする銘柄です。携帯通信はストック型収益モデルであり、景気変動の影響を受けにくい点が強みです。


 足元の業績は、通信料金の値下げ影響を受けつつも、法人向けサービスや非通信分野(金融・ECなど)の拡大により補完されています。


 また、親会社の ソフトバンクグループ(9984) との関係性や資本政策も投資判断に影響を与える要素です。


 注目点は、「成長と株主還元」の両輪を重要視している点です。


 AI分野への投資にも注力しており、国内発のAI開発を含めた新たな成長領域に取り組む一方、配当および優待に力を入れる態勢は高く評価されるでしょう。


ニトリHD(9843)

 家具・インテリア分野で圧倒的な競争力と知名度を持つ企業で、「製造物流IT小売業」という独自モデルにより高い収益性を維持しています。商品の多くを海外から調達しているため、為替の影響を受けやすく、円高局面では仕入コストの低下が利益改善に直結します。


 国内市場の成熟を背景に、海外展開の成否も重要なポイントとなっています。今後の注目点は、為替環境の変化と海外事業の成長です。


 景気減速局面でも一定の需要が見込める商品群を扱っており、ディフェンシブ性と成長性のバランスが取れた銘柄として中長期投資に適しています。


サンドラッグ(9989)

 ドラッグストア事業を中心に展開し、生活必需品を取り扱うディフェンシブ銘柄です。医薬品・食品など日用品を幅広く扱っており、安定した需要に支えられた収益構造を持っています。


 足元の業績は、既存店の堅調な売上に加え、一定のインバウンド需要や食品販売の強化が寄与しています。


 また、郊外型店舗を中心とした効率的な運営も利益率の高さにつながっています。高齢化の進展に伴って医薬品需要がじりじりと拡大する可能性がある中、景気変動の影響を受けにくい業態は注目です。


 安定成長が期待できることから、守りのポートフォリオにおける中核銘柄として位置付けられます。


(田代 昌之)

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