中東危機で株が急落しました。日本株や米国株の積み立て投資をしており、不安を感じている方もいるでしょう。

しかし、あわてる必要はありません。積み立て投資は、荒れれば荒れるほど、ドルコスト平均法でより多くの収益を生む仕組みが内蔵されています。今回は、積み立て投資の仕組みについてのクイズです。


【投資クイズ】積み立て投資の定番「ドルコスト平均法」の利点は...の画像はこちら >>

積み立て投資の成果が大きくなるのはどれ?

 今日は、積み立て投資の特色を正しく理解するためのクイズを出します。以下2問、解いてください。


【第1問】


 図は、投信A、投信B、投信Cの三つの投信の1口当たり基準価額(投資信託の取引価格)の推移です。毎月1万円ずつ3年間投資を継続した場合、3年後、もうけが一番大きな投信ともうけが一番小さな投信はどれでしょうか。全てノーロード投信(販売手数料がゼロの投信)で分配金はないものとして考えてください。


【投資クイズ】積み立て投資の定番「ドルコスト平均法」の利点は?
投信A、投信B、投信Cの1口当たり基準価格の推移

 三つの投信の1口当たり基準価額は、年平均約6%上昇して、3年後にはいずれも1万1,900円となります。ただし、途中の値動きは異なります。


 途中の値動きの違いが、3年後の成果にどのように表れるのか考えてみましょう。


【第2問】


 図は、投信D、投信Eの二つの投信の1口当たり基準価額の推移です。毎月1万円ずつ3年間投資した場合、3年後のもうけはどちらが大きいでしょうか。

どちらも、ノーロード投信で分配金はないものとして考えてください。 


【投資クイズ】積み立て投資の定番「ドルコスト平均法」の利点は?
投信D、投信Eの二つの投信の1口当たり基準価額の推移

【投信D】は、値動きが乏しいアセットです。1万円でスタートして、3年間ずっと1万円のままで推移しています。


 一方、【投信E】は値動きが激しいアセットです。1万円でスタートして一時1万1,500円(スタート時より+15%)まで上昇しました。ところが、その後一時8,500円(スタート時よりマイナス15%)まで下落し、3年後にはスタート時の1万円に戻っています。


 3年後の基準価額は、投信DもEもスタート時と同じです。上がりも下がりもしていません。ただし、途中の値動きが異なります。それが、積み立ての成果にどう影響するでしょうか?


第1問の正解

一番もうけが大きいのは、投信C
一番もうけが小さいのは、投信A


 投信A、投信B、投信Cとも、毎月1万円ずつ投資するので、3年間での投資額は合計36万円(1万円×36カ月)です。


 3年後の評価額の合計は、以下になります。


投信A:37万1,513円
投信B:39万3,894円
投信C:41万9,826円


 資産を一番増やせたのが投信Cで、資産増加が一番小さいのが投信Aです。


【解説】


 改めて、三つの投信の価格推移をご覧ください。


【投資クイズ】積み立て投資の定番「ドルコスト平均法」の利点は?
投信A、投信B、投信Cの1口当たり基準価格の推移(解説付き)

 3年間、積み立てで投資を続けた場合、安いところでたくさん買えたのは、積み立て初期に価格が下がった投信Cです。従って、投信Cの利益が一番大きくなります。


 一方、積み立て初期に価格が大きく上がってしまった投信Aは、積み立ての期間中、相対的に高いところで買わなければならなかったことが分かります。そのため、投信Aの投資成果が一番小さくなります。


【ここから学ぶこと】


 積み立て投資を始めて、すぐに株価が下がると残念ですが、長い目で見て、悪いことではありません。積み立て投資を始めて、すぐに株価が上がるとうれしいですが、長い目で見て、必ずしも良いとは限りません。


 積み立て中は株価が「上がって良し、下がって良し」と、気楽に構えて積み立てを続けていくことが大切です。


第2問の正解

 投信Eの方が良い結果となります。


 投信Dに積み立てしても、損も得もしません。


 投信Dに毎月1万円ずつ投資した場合、3年間での投資額は合計36万円となります。


 3年後の評価額も36万円のままです。基準価額がずっと1万円のままで動きませんので、損も得もしません。


 一方、投信Eに毎月1万円ずつ投資した場合、3年間での投資額合計が36万円なのは同じですが、3年後の評価額は36万4,395円となります。

なぜ、資産が増えるのでしょうか?


【投資クイズ】積み立て投資の定番「ドルコスト平均法」の利点は?
投信D、投信Eの二つの投信の1口当たり基準価額の推移

 積み立てを始めてすぐ価格が下がっているので、安い所で買える効果があります。


 ただし、1年半を過ぎた後は、価格が上がっているので、高い所でも買ってしまいます。


 安い所で買った効果と、高い所で買った効果が相殺して、損も得もしないように見えますが、そうではありません。トータルでプラスの効果があります。それが「ドルコスト平均法」の効果です。ドルコスト平均法の効果で、4,395円の評価益が得られます。


 投信価格が安い時にも高い時にも、常に同じ金額で買い続けることが重要です。価格が安い時には投信をたくさん買えます。価格が高い時には、投信を少ししか買えません。安い時にたくさん買って高い時に少ししか買わないので、結果的に上手に買っているのと同じです。


 第2問の例では、底値で買った投信から得られるリターンが、天井値で買った投信による損失よりも大きくなります。


底値で買ったケース(購入時8,500円 → 売却時1万円):1万円投資で約1.176口購入。

売却時は1万1,764.7円となり、1,764.7円の利益。


天井値で買ったケース(購入時1万1,500円 → 売却時1万円):1万円投資で約0.870口購入。売却時は8,695.6円となり、1,304.4円の損失。


 それが「ドルコスト平均法」の効果で、プラスアルファの収益を生む源泉です。


今日のクイズから分かる「積み立て投資の教訓」

 今日のクイズから分かることは、以下2点です。


【第1問から分かること】


「積み立て投資の成果は、積み立て初期に、価格が上がるより、下がった方が大きくなる可能性が高い」


 積み立てを始めて、すぐに株価が下がって含み損ができると、残念な気持ちになりますが、一喜一憂する必要はありません。長期でリターンが稼げるアセットに、淡々と積み立てを継続することが、良い成果につながると言えます。


【第2問から分かること】


「積み立て投資の成果は、ドルコスト平均法の効果により、値動きの小さい資産よりも、急落・急騰を繰り返す値動きの荒い資産の方が大きくなる」


 積み立てをしている間に、日経平均株価が急落・急騰を繰り返すと、不安になりますが、荒れる資産だからこそ、長期で積み立てしていく価値があると考えてください。


テクニカル・ファンダメンタルズ分析を詳しく勉強したい方へ

 最後に、株式投資を書籍でしっかり勉強したい方に、私の著書を紹介します。ダイヤモンド社より、株価チャートの読み方をトレーニングする「 株トレ 」(黄色の本)と、決算書の見方などを学ぶ「 株トレ ファンダメンタルズ編 」(水色の本)が出版されています。どちらも一問一答形式で株式投資の基礎を学ぶ内容です。


【投資クイズ】積み立て投資の定番「ドルコスト平均法」の利点は?
「株トレ」 シリーズ2点 書影

(窪田 真之)

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