「SaaSの死」という言葉が独り歩きし、好業績にもかかわらず売られるソフトウエア関連株が増えています。好業績のシステムインテグレーターやAIエージェント株にも、そのあおりを受けて売られるものが出ています。
「SaaSの死」とは?好業績のソフトウエア株が売られた理由
最近「ビジネス用の人工知能(AI)が高度化すると、既存のソフトウエアは不要になる」という極端な考えが広まり、米国・日本を含め世界中でソフトウエア株が一斉に売られました。これが、「SaaSの死」といわれる現象です。
きっかけとなったのは、米国のAI開発企業アンソロピック社がリリースしたビジネスAIツール「クロード・コワーク(Claude Desktop上で動作するタスク実行型AIエージェント機能)」です。これまで人間やSaaSがやってきた業務の多くを、将来AIが自律的にこなしていくという期待が高まりました。
【注】SaaS(サース)とは
Software as a Service(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の頭文字を取った造語。クラウド経由で提供されるソフトウエアのこと。
ソフトウエアには、端末にインストールして使うソフトウエア(組み込みソフトウエア)と、インターネットを通じて利用するソフトウエア(SaaS)があります。組み込みソフトウエアは、利用する端末ひとつひとつにインストールする必要がある上に、バージョンアップがある度に再インストールが必要で手間がかかります。
一方、SaaSは、インターネットに接続するだけで簡単に使えて、常に最新バージョンにアップデートされている便利さがあります。そうした背景から、近年は、組み込みソフトウエアの利用が減り、SaaSを利用する企業がどんどん増えていました。
SaaSを提供する企業は、業績が好調で昨年の前半くらいまでは成長株として株式市場で軒並み大きく値を上げていました。ところが、「SaaSの死」という衝撃的な言葉が広まると、一斉に株価が下落するようになりました。
私は、「SaaSの死」というキャッチコピーがあまりに見事だったために、株式市場は過剰反応していると思います。実際、SaaSの死で売られたソフトウエア株には、今も業績が好調で、最高益を更新中の銘柄が多数あります。
AIを使って高度化するSaaSはさらに発展する
多くの人が分かっていることは、「既存のソフトウエアが今すぐ不要になるわけではない」ことです。AIがいくら高度化しても、個別のビジネスにそのまま使えるわけではありません。個別のビジネスの「ドメイン知識(専門知識)」をしっかり学習させ、そのビジネスに合わせて「カスタマイズ(特注仕様)」しないと、使いものになりません。
今後、ビジネスの現場で、AIにドメイン知識をしっかり学習させてカスタマイズして「AIエージェント」として独り立ちさせる作業が、どんどん進められるでしょう。ただし、それで既存のSaaSが死んでいくことにはならないと思います。以下二つの理由によります。
【1】既存のビジネス用SaaSはドメイン知識に詳しく個別ビジネスにカスタマイズされている
既存のビジネス用SaaSは、ドメイン知識を学習し、カスタマイズすることで、個別のビジネスに役立つように進化してきました。個々のビジネスをよく知っているという点において汎用AIに対して優位です。
個別ビジネスにカスタマイズされていないパッケージソフトは不要になっていく可能性もありますが、個別ビジネスにカスタマイズされたソフトウエアがすぐに淘汰(とうた)される可能性は低いと思います。
【2】既存のSaaSもAIを採り入れてAI-SaaSとして進化していく
既存のSaaSがAIを採り入れない旧来のソフトウエアのままであれば、いずれAIに淘汰されると思います。ただし、既存のSaaSも当然ながら、AIを採り入れて進化していくことになります。
そもそもAIも広義のソフトウエアです。クラウド経由で使われるAIも、広義のSaaSであるとも言えます。つまり、「AIによってSaaSが死ぬ」という考えにはそもそも矛盾があるわけです。正しく言い換えるならば、「AIを採り入れないSaaSは淘汰されるが、AIを採り入れて高度化するSaaSはさらに発展する」だと思います。
「SaaSの死」で売られるシステムインテグレーター銘柄
「SaaSの死」というキャッチコピーで売られたのは、ソフトウエア株だけではありません。システム開発会社や、システムインテグレーター(SIer)の株も同じように売られました。
最近、AIが人間に代わってプログラミングをできるようになってきたことから、「将来、システム開発は全てAIにやらせる」と言う経営者も現れ、システム開発を行う企業の株が売られるようになりました。
確かに、AIによって最近、システム開発の省力化がかなり進んでいるのは事実です。生成AIは言語能力が高く、システム言語(コード)も完璧に学習し、人間に代わってプログラミングをこなすようになりました。
簡単なソフトウエアであれば、アンソロピック社の「クロード・コード(ターミナル上で動作する対話型のAIコーディングエージェント)を使えば、自然言語でプロンプト(AIへの指示)を出すだけで、開発できる可能性が示されました。つまり、技術者でなくても、簡単なソフトウエアを作れる可能性が示されたわけです。
これに株式市場は過剰反応していると思います。システム開発企業の株価は業績好調でも売られるようになりました。簡単なソフトウエアが簡単に作れるようになる可能性が出たものの、複雑なシステム開発を全てAIに丸投げできるわけではありません。
コーディングなどをAIに任せることでかなりの省力化が進みますが、それでシステムインテグレーターが売られるのは、過剰反応と思います。
大手のシステムインテグレーターは、AIを活用することでシステム開発のコストを下げ、さらに収益性を高めることになると思います。ただし、簡単な業務システムを作っているだけのシステム開発会社は、淘汰されていく可能性はあります。
AIエージェントで伸びる企業まで売られる
「SaaSの死」という言葉の一人歩きで、最近さまざまなインターネットサービスを提供する企業まで、一部売られるようになりました。
近年、インターネット上のあらゆるサービスにAIが活用されるようになってきました。クラウド経由でAIエージェントを提供する成長企業まで売られているのを見ると、さすがに行き過ぎではないかと思います。
参考銘柄
私が「売られ過ぎ」と思うソフトウエア株、システム開発株、AIエージェント株を、参考までに掲載します。これらは、公開情報に基づき私が「売られ過ぎ」と判断している銘柄群です。ただし、これからのAIの進化次第では、ビジネスが厳しくなる可能性も皆無とは言えません。最終的な投資判断は、ご自身で行ってください。
<参考銘柄:2026年4月1日時点>
NEC(日本電気:6701) 、 富士通(6702) 、 NRI(野村総合研究所:4307) は、日本を代表する大手システムインテグレーターです。NEC、富士通は総合電機とも言われ、システム専業ではなく幅広いビジネスを展開しています。
Appier Group(4180) は、AIを活用したマーケティング・ソリューションを世界17か国で展開。Eコマース業界を中心に2,000超の顧客企業を有します。
ベース(4481) は、受託開発で成長してきた独立系システムインテグレーターです。NTTデータグループ、富士通グループ、NRIグループなどから開発を受託しています。
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2026年3月1日: 【投資クイズ】ソフトウエア株は「SaaSの死」で売られ過ぎか?
(窪田 真之)

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