KDDIに巨額の不正取引が発覚しましたが、私は「買い」判断を変えません。本業は好調で財務へのダメージは限定的であること、今後ガバナンス強化がさらに進むと期待されることによります。


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2,461億円不正会計、KDDIそれでも「買い」継続の三つの理由(窪田真之)
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KDDIに重大な不正会計が発覚

  KDDI(9433) は3月31日、連結子会社ビッグローブおよびジー・プランで長年にわたって行われていたインターネット広告事業での不正会計の内容および今後の対応について、公表しました。


<KDDIの連結財務諸表に与える影響額(同社による見積もり)>
2,461億円不正会計、KDDIそれでも「買い」継続の三つの理由(窪田真之)
出所:KDDIによる2026年3月31日公表資料「当社連結子会社における不適切な取引の疑いに関する特別調査委員会の調査報告書の受領及び今後の当社の対応について」より抜粋して楽天証券経済研究所が作成

 2018年以降、2025年12月までの間に、累計2,461億円もの架空の売上高が計上されていました。これに伴い、過去の決算を訂正(売上高および利益を下方修正)するとともに、まだ決算が発表されていない前期(2026年3月期)決算にもマイナス影響が及びます。


 売上高は累計約2,461億円下方修正されますが、まだ決算が発表されていない2026年3月期への影響額(不正が発覚する前の2025年4-12月分)は、売上高で676億円のマイナスです。


 営業利益では累計1,508億円下方修正されます。うち、499億円は過大に計上された営業利益の取り消し、329億円は外部に流出した手数料、646億円は一連の下方修正にともなって生じるのれん等の減損です。外部に流出した手数料は今後、極力取り戻す努力をすることになります。


 これらを合わせた2026年3月期の営業利益へのマイナス影響は396億円、当期純利益へのマイナス影響は334億円です。なお、これらの数字は3月31日時点での見積もりで、今後、修正される可能性はあるとのことです。


不正会計の公表後も、KDDIの株価は落ち着いた動き

 KDDIが、この不正会計について最初に発表したのは今年1月14日でした。「子会社のインターネット広告事業で架空売上計上の可能性が判明したことに伴い、特別調査委員会を設置して調査する」という内容でした。


 2月6日には、第3四半期(2025年4-12月期)の決算発表が遅れること、および不正取引の影響概算を発表しました。その際、売上高の架空計上が累計約2,460億円に及ぶと発表しています。


 そして3月31日には、特別調査委員会の報告を受けて、改めて、影響額について公表しています。


 これだけの巨額の不正会計を発表した割には、KDDIの株価は堅調です。本業は好調で、財務への影響は限定的と考えられるからです。


<KDDI株価チャート(日次推移):2025年12月末~2026年4月4日> 
2,461億円不正会計、KDDIそれでも「買い」継続の三つの理由(窪田真之)
出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 以下三つの理由から、私は、KDDIを引き続き「買い」と判断します。高配当でゆっくり成長する企業として評価しています。


<KDDIの株価指標:2026年4月4日時点>
2,461億円不正会計、KDDIそれでも「買い」継続の三つの理由(窪田真之)
出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成。配当利回りは2026年3月期1株当たり配当金80円を、4月3日株価で割って算出

【1】財務への影響は限定的


 売上高・営業利益の下方修正は巨額ですが、それでもKDDIの財務全体への影響は限定的です。前期(2026年3月期)決算への影響も懸念するほど大きくはありません。


【2】不正会計に関与したのは子会社の二人のみ


 特別調査委員会の報告によると、KDDIの経営陣・従業員の直接の関与はありませんでした。つまり、組織ぐるみの不正ではありません。子会社従業員二人に、大きな取引を任せきりにしてチェック機能が働かなかった管理不全に対して、経営陣の責任は重いものの、連鎖的に次々と不正が発覚することはないと考えられます。


【3】本業は好調


 移動体通信事業で安定高収益を稼ぎつつ、金融、エネルギー、DX、音楽配信などの事業で稼ぐビジネスモデルは健在です。


 終わったばかりの2026年3月期の決算はまだ発表されていませんが、3月31日にKDDIが発表した見通しによると、純利益は下方修正されたものの、前期比1.8%増の6,980億円となる見通しです。

1株当たり配当金(会社予想)80円が実現すれば、24期連続の増配となります。


 KDDIは、多角化による成長戦略で始めたインターネット広告事業で大きくつまずきました。これを教訓に、ガバナンスをさらに強化していくと考えています。引き続き、移動体通信事業で安定高収益を稼ぎつつ、非通信で成長を目指す企業として評価しています。 


※上記は筆者の見解に基づくものであり、投資判断はご自身の責任と判断において行ってください。


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(窪田 真之)

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