足元では円安基調が続いているが、この流れは4月後半にかけて変わる可能性がある。市場が意識し始めるのは、4月末の日銀会合に向けた政策修正の可能性だ。

本稿では、4月相場を前半の円安局面と後半の円高局面に分けて整理し、円高の恩恵を受けやすい注目5銘柄を紹介する。


4月後半「円高シナリオ」に備える!小売り・消費関連日本株5選...の画像はこちら >>

円安の行方は?4月日銀会合で利上げ観測高まる

 足元の為替市場では、1ドル=159円台の円安が続いていますが、この流れを政府・日本銀行による為替介入だけで食い止めることは極めて難しい状況にあります。


 背景には、中東情勢の緊迫化などを受けた「有事のドル買い」があります。エネルギー価格の上昇や地政学的リスクの高まりに伴い、安全資産としてドルが選好される構図が強まっており、一国の政策対応だけでは覆しにくい流れです。


 このため、日本政府・財務省による為替介入は、円安の進行スピードを一時的に抑える効果はあっても、トレンド自体を反転させる力は限定的とみます。従って、4月前半にかけては、円安がもう一段進む可能性も視野に入れておく必要があります。


 しかし、この円安がそのまま継続するとは限りません。市場が次に意識するのは、「この円安に対して日銀がどう対応するか」です。


 本稿では、円安を食い止める手段として、4月末(27、28日)の日銀金融政策決定会合(日銀会合)で利上げに踏み切る可能性をメインシナリオとして想定します。政治面でも、円安の先にある物価高を抑制するためにも、追加の政策対応は容認しやすい環境が整いつつあるとみられます。


 日銀会合は4月末に予定されていますので、この会合に向けて、4月中旬ごろからは政策変更を意識した発言が増えていく可能性があります。


 特に注目されるのが、4月13日に予定されている植田和男日銀総裁の信託大会でのあいさつです。通常、この種の挨拶で金融政策の方向性が明確に示されることは多くありません。


 ただ、会合直前の限られた発信機会だけに、市場は発言の細部まで注目するでしょう。例えば、円安による物価押し上げへの警戒感や、賃上げの持続性、物価見通しへの自信といった点に言及があれば、利上げ観測は一段と強まる可能性があります。


 また、3月以降の日銀関係者の発言を振り返ると、すでに次の一手を意識した地ならしが進んでいることが分かります。副総裁や審議委員の講演では、為替や市場動向が物価に与える影響を注視する必要性が繰り返し指摘されています。


 さらに、3月の金融政策決定会合では、中東情勢による不透明感が意識される中、一部委員からより積極的な利上げを求める意見も出ており、政策委員会内部でも引き締めに向けた議論が進んでいることが確認されています。


4月為替相場は二段階:後半は円高方向へ修正か

 このような状況を踏まえると、市場は実際の政策決定を待つのではなく、その前段階で動き始める可能性が高いといえます。すなわち、4月中旬以降、日銀関係者の発言をきっかけに利上げ観測が高まることで、為替市場は円高・ドル安方向へと先回りして動く展開が想定されます。


 ここで重要なのは、為替の時間軸を二段階で捉えることです。


 第一段階は、足元から4月前半にかけての円安継続局面です。有事のドル買い、資源価格の上昇、日本の輸入構造といった要因が重なり、円安圧力は依然として強い状況にあります。この局面では、為替介入への警戒感があっても、基調としての円安トレンドは維持されやすいと考えられます。


 第二段階は、4月中旬以降の円高転換局面です。日銀総裁や審議委員の発言、そして、月末の会合を控えた政策期待の高まりによって、市場は利上げを織り込みにいく可能性があります。

その結果、実際の利上げ決定を待たずに、為替は円高方向へと修正される可能性があります。


 さらに、4月28日に実際に利上げが決定された場合でも、その後の展開には注意が必要です。市場はすでに利上げを織り込んでいる可能性があるため、「材料出尽くし」として円高の動きが一服する展開も考えられます。あるいは、今後の利上げペースが緩やかであると受け止められれば、再び円安方向へ揺り戻す可能性も否定できません。


 このように、2026年4月の為替相場は、「前半は円安、後半は円高」という時間差のある動きになる可能性が高いといえます。重要なのは、単純に円安か円高かを当てることではなく、「いつ、どの要因で動くのか」を整理することです。


円高が追い風!小売り・消費関連日本株5選

 為替介入はあくまで補助的な手段であり、今回の円安局面を本質的に変えるのは、日銀の金融政策への期待です。従って、投資家としては、4月中旬以降の日銀関係者の発言や市場の織り込み状況を丁寧に追いながら、為替の転換点を見極める必要があります。


 今回の円安は「止まらない」のではなく、「政策が動くまでは止められにくい」性質のものだといえます。そして、その政策変更を待つのではなく、市場は先回りして動く傾向があります。4月相場は、その典型例となる可能性が高く、前半と後半でまったく異なる顔を見せる局面になると考えられます。


 今回のシナリオで重要なのは、「円高になるかどうか」ではなく、「円高になったときに誰が得をするか」という視点です。円高は全ての企業にプラスに働くわけではなく、むしろ恩恵を受ける企業は限定されます。

特に注目すべきは、輸入コストの低下を利益に転換できる小売・消費関連企業です。以下では、円高局面で評価が高まりやすい5銘柄を具体的に見ていきます。


銘柄名 証券コード 株価(円)
(4月7日終値) 特色 神戸物産 3038 3,260 円高局面は粗利を押し上げる あさひ 3333 1,409 見落とされやすい円高メリット株 コーナン商事 7516 4,525 円高局面は4割近いPB比率の高さが武器 パン・パシフィック・インターナショナルHD 7532 977.8 仕入れ価格改善が収益を押し上げ サイゼリヤ 7581 6,670 食材コスト低下は大きな追い風に

神戸物産(3038)

 業務スーパーを展開する同社は、冷凍食品や加工食品の多くを海外から直接輸入しており、円高は仕入れコストの低下に直結します。そのため、粗利益率の改善効果が極めて分かりやすい構造といえます。


 外食代替需要を取り込むビジネスモデルであるため、利上げによる一時的な消費抑制局面でも客数が伸びやすい点が特徴です。円高メリットと節約志向の追い風を同時に享受できる銘柄といえます。


あさひ(3333)

 自転車専門店である同社は、商品の多くを海外から調達しており、円高は仕入れコストの低下につながります。加えて、自社ブランド商品の比率も高いため、コスト低下が利益改善に結びつきやすい構造です。


 自転車は生活必需性と嗜好(しこう)性の中間に位置するため、景気の影響を受けにくい側面があります。中期的には安定した市場が見込まれることから「ディフェンシブ銘柄」ともいえます。


コーナン商事(7516)

 ホームセンター業態は輸入商品比率が高く、円高の恩恵を受けやすい特徴があります。特に同社はプライベート・ブランド(PB=自主企画)商品の拡充を進めており、2025年3-11月期(第3四半期)時点の連結PB売上構成比は35.7%と高く、仕入れコストの低下が利益に反映されやすくなっています。


 また、日用品やDIY関連は生活必需に近く、景気減速局面でも需要が大きく落ちにくい点が強みです。そのため、利上げ環境下でも比較的安定した業績が期待できます。派手さはないものの、円高メリットとディフェンシブ性を兼ね備えた銘柄といえます。


パン・パシフィック・インターナショナルHD(7532)

 同社の強みは、輸入比率の高さと価格柔軟性にあります。ドン・キホーテでは並行輸入品や海外仕入れ商品が多く、円高局面では仕入れコストが即座に低下する構造です。さらに重要なのは、値下げによる集客と利益確保を柔軟に使い分けられる点です。競争環境に応じて最適な価格戦略を選択できるため、円高メリットが収益に反映されやすいといえます。


 インバウンド需要にも依存しすぎておらず、国内客基盤が厚いため、為替変動の影響を受けにくい点も評価できます。今年4月から日経平均銘柄採用となったことも追い風と考えます。


サイゼリヤ(7581)

 同社は外食企業の中でも食材の海外調達比率が高く、円高はコスト低下に強く効きます。特にオリーブオイルや小麦など輸入原材料の影響を受けやすい構造です。低価格路線を維持しているため、コスト低下分を値下げや利益改善に振り分ける余地があります。また、価格競争力が高く、景気が弱い局面でも客数が落ちにくい点も特徴です。


 実際、物価高で消費者の節約志向が強まったことから足元の業績は好調です。利上げによる一時的な消費減速の影響は、競争力の強い同社にとっては追い風となるでしょう。


(田代 昌之)

編集部おすすめ