トランプ大統領が2週間の停戦合意を発表。イラン側もホルムズ海峡が2週間開放になることを発表しました。

これを受けて158円台前半へ円高進行しましたが、ドル買い巻き戻しがここからさらに進むのかは、今後の交渉が焦点になってきます。完全停戦か、再び軍事行動に戻るのか。日銀政策やFOMCの材料としても注目度が高まっています。


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停戦合意、ホルムズ海峡開放で「有事のドル買い」の巻き戻しはさらに進む?

 米国とイランの交渉期限が日本時間8日午前9時(米国東部時間7日午後8時)に迫る中、8日午前7時半過ぎ、トランプ大統領が「パキスタンが提示した2週間の交渉期限を条件付で受け入れることに同意した」と発表しました。イラン側も「ホルムズ海峡の安全な航行は2週間可能になる」と発表したことでドルは売られました。


 この発表前に、米軍がイランの原油積み出し拠点であるカーグ島を攻撃したとの報道から、一時、原油先物ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は時間外取引で117ドル台半ばまで急騰しましたが、トランプ大統領の条件付停戦合意の発表で91ドル台に急落しました。ドル円は159円台半ばから158円台前半へ円高に行きました。有事のドル買いの巻き戻しがさらに進むかどうか、今後の交渉が焦点になってきました。


 米国とイランは戦争終結合意に関する初回協議を4月10日にパキスタン首都のイスラマバードで開催すると報道されています。イランは、「米国との交渉は戦争の終わりを意味しない」と発言し、「10項目の提案に基づく詳細が確定するまで戦争の終結を受け入れない」とのことです。有事のドル買いの巻き戻しや原油高がさらに修正されるかどうか、今後の交渉に注目です。


 また、イランがホルムズ海峡の安全な航行は2週間可能になると表明していますが、トランプ大統領が停戦合意の条件として出した「ホルムズ海峡の完全かつ即時安全な開放」になるのかどうかが注目されます。イランが受け入れても、実際にスムーズに船が動かないと原油は高止まりした状態が続くことが予想されます。


 さらに、イランはこれまでも協議のさなかに攻撃されてきたことから、米国・イスラエルに対して不信感があります。今回も交渉中にイランへの攻撃があると、即時に停戦合意は破棄されることになります。現時点では、米国もイスラエルも攻撃を停止することで合意したとのことですが、交渉中の攻撃や交渉決裂になれば、再び軍事行動に戻る可能性があり、懸念されます。


 停戦交渉が進展し、完全に停戦になれば、原油価格が落ちつくことが予想されます。しかし、攻撃で被害を受けた供給施設の復旧までには時間がかかることが予想されるため、イラン紛争の開始前の水準であるWTI80ドル割れには時間がかかりそうです。


 それでも先週3日の米3月雇用統計を受けた米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通し後退は変わることが予想されます。米3月雇用統計の非農業部門雇用者数(NFP)は予想(+6.5万人)を大幅に上回る17.8万人の増加、失業率は4.3%と、予想4.4%を下回り、前月(4.4%)からも低下しました。


 予想を上回る好結果を受けて、フェドウオッチの金利見通しは、4月6日時点で12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では現状維持(政策金利3.50~3.75%)が74.5%の確率、0.25%の利下げ確率は12.8%、0.25%の利上げ確率は11.7%と利下げ確率に近い水準に上昇してきました(1週間前は利下げ確率20.9%、利上げ確率1.0%)。


 このように6日時点では年内の利下げはないとの見方が大勢となっていました。


 しかし、停戦合意の発表後の見通しでは、12月のFOMCでの利下げ確率が35.1%に急上昇しました。現状維持の確率が55.3%となっているため、12月の利下げはないとの見方が大勢ですが、1日前は利下げ確率が12.8%だったことをみると、利下げ期待が一気に高まったことが分かります。


 利上げ確率は0.3%になり、急速に期待が萎んだようです。

そして0.50%(年内2回)の利下げ確率も8.4%に上昇してきています。


停戦合意を受けてFOMC、そして日米金融政策への影響は

 10日には米3月の消費者物価指数(CPI)が発表されます。原油価格の上昇の影響が出始めると予想されており、前年比で「2月2.4%→3月3.4%」の予想、CPIコアで「2月2.5%→3月2.7%」の予想となっています。


 CPIが予想通りでも年内利下げ期待が後退することが予想されますが、2週間の停戦合意を受けてそれほど後退しないかもしれません。相場もそのような動きになることも予想されるため注意が必要です。3月CPI発表後金利が上昇し、ドル高になっても、4月は原油上昇の影響が剥落するとの期待から一時的な動きになるかもしれません。


 今後は米・イランの停戦協議の動向が焦点になると同時に、日米の金融政策が材料として注目度が高まってくることが予想されます。


 4月27~28日の日本銀行金融政策決定会合では、4月利上げが織り込まれつつあります。停戦合意・ホルムズ海峡開放を受けて日銀の利上げ期待が一段と高まることが予想されます。


 しかし、2週間の停戦協議が終わるまでは相場も動きづらいことが予想されます。しかし、よい形で合意された場合には利上げ期待による円高の動きが一気に噴き出す可能性もあるため注意したいと思います。


 パウエル議長は3月30日の米ハーバード大学で行われたイベントで、原油高について「エネルギー危機は比較的短期で収束する傾向がある。

反応しないのが一般的な対応だ」との見方を示し、その上で現行の金融政策は「適切な位置にある」と述べ、当面は政策金利を据え置く考えを示唆しました。


 4月28~29日のFOMCでは、米3月雇用統計や3月CPI、そして停戦合意・ホルムズ海峡開放を受けて、様子見姿勢が変わるのかどうか注目です。市場の利上げ期待は後退すると思われますが、FOMC内でのタカ派意見がどの程度にじみ出るのか注目したいと思います。 


(ハッサク)

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