千葉県で、ガソリンが混入した灯油が販売され、地元の消防や石油元売りが注意喚起と回収に乗り出しています。一方、灯油が混入したガソリンが販売される事例もしばしば報じられます。
2020年11月19日(木)、千葉県印西市のガソリンスタンドで、ガソリンが混入した灯油が販売された可能性が発覚。地元の消防が注意を呼び掛け、石油会社はその回収作業を進めています。
石油製品の業界団体である石油連盟によると、「非常に危険」とのこと。「ガソリンは爆発的に燃焼するため、それが混入した灯油を石油ストーブで使った場合は火を吹く恐れがあります」と話します。
灯油の混じったガソリンを使うとどうなるのか。写真はイメージ(Veerathada Khaipet/123RF)。
今回の事案は複数のメディアで、ガソリンと灯油を積んだタンクローリー内に亀裂が見つかり、混入の疑いが発覚したと報じられています。
タンクローリーは複数の油種を運べるよう、タンク内が複数の「室」に仕切られているのですが、石油連盟によると、そのなかで亀裂が生じて混ざり合ったというケースは聞いたことがないとのこと。珍しい事例だったようです。
一方で、灯油が混入したガソリンが販売されたという事例も、しばしば報道されます。これをクルマで使った場合は、どうなるのでしょうか。
石油連盟によると、「灯油が混入したガソリン」の場合、「ガソリンが混入した灯油」とは逆に、燃えにくくなるそうです。
クルマで使った場合はエンジンを傷め、走行中に停止する恐れもあるとのこと。また、近年のクルマのエンジンは電子制御されているため、そのコンピューターも狂い、大きな損害につながりかねないといいます。もし発覚した場合は、使用を停止し、ガソリンを抜き取ったのちエンジンを清掃するといった対策が必要だそうです。
このような「灯油が混入したガソリン」が販売される事例の多くは、スタンドでタンクローリーから石油を荷卸しする際のミスが原因だといいます。スタンドの地下には、それぞれの燃料を貯蔵するタンクが埋まっていますが、そこに誤った油種を入れてしまうケースが、対策を講じているものの、稀に発生しているとのこと。
今回のように、タンクローリー内で灯油にガソリンが混入した事例はレアケースとはいえ、荷卸し時のミスに起因する「灯油へのガソリン混入」も起きており、資源エネルギー庁は特に危険な事例としています。
なお、石油連盟によると、このような事案が発覚した場合には、販売したガソリンスタンド、およびその石油元売り会社が、賠償を含め対応するというルールができているそうです。
ちなみに、誤ってバイクへ灯油を入れてしまった経験がある40代男性によると、エンジンはかかったものの、明らかに異臭がしたため、灯油だったことに気づいたと話します。すぐにエンジンを停止し、燃料を抜き取り、大事には至らなかったそうです。