寒冷地で屋外に駐車する際、ワイパーを立てておくことは自動車メーカーも推奨していますが、なかには構造的にそれが難しい車種もあります。ワイパーを立てるかどうか、その考え方は国や地域によっても様々なようです。

そもそもなぜワイパー立てるの?

 降雪の予報がある場合などは、クルマのワイパーを立てておいたほうがよいのでしょうか。国産車では、「寒冷地で屋外に駐車するときにはワイパーを立てておいてください」と取扱説明書に記載されていることもあります。

 ワイパーが雪に埋もれたり、重みでワイパーアームが歪んだりすることもありますが、立てておく理由はそれだけではありません。ひとつは、フロントガラスにワイパーが凍り付くのを防止するため。この状態でワイパーを作動させると、ワイパーゴムが切れてしまったり、ワイパーを動かすモーターが故障する原因にもなったりします。

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雪の日にワイパーを立てておくクルマが見られる(画像:Sergey Zavyalov/123RF)。

 しかし、ワイパーの一部がボンネットと干渉して立てられなかったり、立てるのにワンクッション必要だったりする車種もあります。ルノー「カングー」もワイパーが立たたない車種のひとつですが、ルノー・ジャポンによると、フランスなどでは日本人ほどこまめにワイパーを立てないのだとか。

 ワイパーを製造するボッシュは、ヨーロッパ北部でもワイパーを立てる・立てないは地域によって異なるといい、そうした違いの背景に雪質の違いがあると説明します。欧州の雪はサラサラしていて凍りにくいのに対し、水分が多い日本の雪は、重く凍りやすいとのこと。だからこそ、日本ではワイパーを立てておくことが推奨されるのかもしれません。

 ちなみに、ワイパーの一部がボンネットの内側に隠れる構造は「コンシールドワイパー」といいます。

ワイパーが前方視界を妨げず、クルマの見た目もすっきりするほか、高速走行時におけるワイパーの浮きや空気抵抗を低減させる効果があるとされ、輸入車では特に多いものです。ルノー・ジャポンによると、フランスなどでは雪が積もっているときも、ワイパーを少し浮かせてスクレイパーで雪を落とすだけ、というケースが少なくないそうです。

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