国際興業バスで、PASMO、Suicaの割引サービス「バス特」が廃止されます。同社独自の動きですが、お得感の高いサービスであることから、SNSなどでこれを惜しむ声が上がっています。
東京や埼玉で路線バスを運行する国際興業が、ICカード乗車券の「バス利用特典サービス」、いわゆる「バス特」を廃止します。2021年2月7日(日)に公式ウェブサイトで発表したほか、すでにバス停やバス車内でその旨が告知されており、SNSなどでは、これを惜しむ声が多く寄せられています。
というのも、バス特は利用者にとってお得感のあるサービスだからだと思われます。ICカードでバスへ乗車するごとに貯まるバスポイントに応じて、特典のバスチケットによる割引が受けられるというものです。
国際興業バス(乗りものニュース編集部撮影)。
たとえば、1か月以内にICカード(PASMOまたはSuica)でバスへ1000円分乗車すれば、バスチケット100円分が付与され、次の乗車時にそのチケット100円分が自動で差し引かれて運賃が割り引かれます。チケットが付与されると、ICカードリーダーから「チケットがつきました」、それが差し引かれると、「チケットを使いました」と音声が流れます。
1か月以内に2000円乗車すると、さらにチケット100円(累計200円)が付与され、3000円ではチケット付与額160円(累計360円)に。その後も支払い累計額1000円ごとにチケット付与額が増減しますが、最大では1万円支払い時に累計1740円分のチケットがつくため、人によっては定期券を買うよりもお得にバスを使うことができるのです。
国際興業では2月末をもって、バスポイントおよび特典バスチケットの付与が終了します。2月28日(日)の最終便までに付与されたバスチケットについては、その日から10年間有効だそうです。
今回のバス特廃止は、国際興業バス独自の措置だといいます。事業者によっては、バス特の導入をアピールするケースもあるなか、なぜ廃止に至ったのでしょうか。
「当社は2007(平成19)年にICカードを導入しました。ICカードの利用を促進するためにバス特を導入ましたが、今や広く普及し、その目的はすでに達せられたと考えています」(国際興業)
このタイミングで廃止することについては、「もともと検討しており、経営上の判断」とのこと。バス特の廃止にともない、乗客には既存の「金額式IC定期券」の利用を呼び掛けています。

バス特の特典チケットがつくと、ICカードリーダーから「チケットがつきました」と音声が流れる。写真はイメージ(乗りものニュース編集部撮影)。
これは、たとえば210円均一運賃区間であれば1か月9360円(通勤定期券の場合)というように、設定された運賃区域内で区間によらずバスが乗り放題になるというもの。仮に210円区間を跨いで299円かかる区間まで乗車した場合は、差額の89円がチャージ残高から自動精算される仕組みです。
なお、国際興業では2018年にも、区間式定期券のほか、地域や路線ごとに設定されていた定期券(都区内フリー定期券や鳩ケ谷フリー定期券など)の多くを廃止しています。
バス特に代わる類似のサービスについては、現時点では予定していないそうですが、国際興業は「弊社では自動運転バスやMaaSに対する検討を引き続き行い、お客様の移動ニーズに、より的確にお応えできるよう輸送サービスの向上に努めてまいります」としています。