量産車で世界初となる「レベル3」の自動運転機能を搭載したホンダ「レジェンド」の新型が発売されました。操縦の主体がドライバーではなく「システム」にあると定義されるレベル3以降の自動運転、保険はどうなるのでしょうか。
ホンダが2021年3月5日(金)に、量産車で世界初となる「レベル3」の自動運転機能を搭載した新型「レジェンド」を発売しました。従来のレベル2までの自動運転と呼ばれる機能は、あくまで「運転支援」の範囲であり、操縦の主体はドライバーにありましたが、レベル3以降は操縦の主体が「システム」にあると定義されています。
では、保険の扱いはどうなるのでしょうか。
新型「レジェンド」(ホンダの映像より)。
損保ジャパンによると、レベル3ないしレベル4の自動運転中に発生した事故の場合でも、被害者救済の観点で自賠責保険は補償対象になるといいます。つまり、自動運転車であっても、その所有者などに責任(運行供用者責任)が生じるとのこと。
ただし、自動運転システムの不具合など、事故の発生に自動車メーカーなどの過失があると考えられる場合、保険会社が被害者に保険金を支払ったうえで、責任割合に応じた保険金を、保険会社から自動車メーカーなどに請求することになるといいます。
たとえば、自動運転システムの誤作動が原因の死亡事故で、被害者の過失がゼロだった場合、「まずは保険会社が被害者へ保険金の全額をお支払いします。そのうえで、保険会社があとからメーカー側へ責任割合に応じた額を求償する形です」(損保ジャパン)とのこと。この場合、メーカー側はPL保険(生産物賠償責任保険)で支払うのが一般的だといいます。
レベル3対応の特約アリ 保険料は上がる?損保ジャパンの自動車保険においては、2017年7月から販売を開始した「被害者救済費用特約」により、レベル3、レベル4の自動運転車いずれの事故の場合も、被害者救済として賠償金相当を支払うことが可能とのこと。
この特約は追加保険料なしで自動付帯されるほか、ドライバーに過失なく、この特約で保険金を支払った場合でも次の契約の等級はダウンせず、保険料は上がらないそうです。

レジェンドにおいてレベル3の自動運転技術として認定を受けた「トラフィックジャムパイロット」は、高速道路での渋滞中に作動する(ホンダの映像より)。
なお、レジェンドのような高級車は、そもそもの保険料が割高ですが、今後、仮に「フィット」などの大衆車へレベル3の自動運転機能が装備されても、それによって保険料が大きく上がるといった想定はしていないそうです。
レベル3以上の自動運転車が国の型式認定を受けるには、「合理的に予見される防止可能な人身事故が生じない」ことが条件です。つまり「自動運転車が自ら事故を引き起こさない、ぶつからない」ことであり、システムエラーなどで事故を起こせば、メーカー側の責任が厳しく問われることになるでしょう。そうした意味でも、新型レジェンドの登場は画期的なことと言えそうです。