飛行機ファンを中心に人気を博す航空会社主催の格納庫ツアーは、通常「主翼は触れない」などの制約があるのが一般的。ただ、FDAが実施したものは「主翼に座ってOK」「機体に絵描いてOK」とまさに「大盤振る舞い」でした。
国内では、利用者を楽しませ、旅客機や航空会社に興味を持ってもらうといった目的から、航空会社が格納庫見学を実施することがあります。普段では見られない旅客機の姿を見ることができるため、航空ファンを中心に人気のイベントとなっています。
ただ、この格納庫見学については、様々な制約があることから、なかなか思うほど機体に近づけない、触れないといった面もあります。ただ、そのハードルを極限まで下げた企画を立てたのが、静岡に本社を構えるFDA(フジドリームエアラインズ)です。
2021年3月20日(土)に、県営名古屋空港(愛知県小牧市)で実施された「FDA 整備部Presents! 秘密の格納庫ツアー」は、同社の“気前の良さ”が大いに発揮されたイベントでした。
「FDA 整備部Presents!秘密の格納庫ツアー」の様子(2021年3月20日、乗りものニュース編集部撮影)。
今回のイベントは、2021年3月中に3度の開催が予定されており、取材したのは2回目のもの。映画のような荘厳なBGMをバックに、FDA機(機番:JA16FJ、エンブラエル175型機)が名古屋空港の格納庫に入ってくるところからツアーは始まります。
集まった参加者は68人で、いくつかのグループに分かれてツアーはスタート。会議室では整備士による航空教室が実施されますが、会場後ろに置かれているのは、まさしく本物のログブック(航空日誌。パイロットと整備士間の状況報告や品質保証などに用いる)です。この教室では、救命胴衣を本当に膨らませる、レアシーンも披露されました。
ただ、このツアーの最大のポイントは、機体見学です。
機体に触るどころか…「描く」「翼に乗る」!FDAの格納庫見学では、ほかの航空会社の同様のイベントでは前代未聞といえるような内容がいくつか含まれています。
まずひとつ目の目玉は、「機体にマジックで参加者が、字や絵を描けること」です。機体左側前方の下側が、自由に絵や文字を描き込める、いわゆる参加者のためのキャンバス・スペースとして開放されていました。なお、今回参加者によって描かれたメッセージや絵は、残したまま飛ばすといいます。
また、通常であれば主翼は、格納庫見学のなかでも「おさわり禁止」が一般的ですが、そのようなか、今回FDAが実施したツアーでは「主翼前方に座って記念撮影」まで可能でした。このほか「機体を参加者がジャッキアップする」「乗客が乗り降りするドアを実際に開け閉めする」「貨物スペースに入る」なども参加者は体験していました。
このほか、コックピットの見学やCA(客室乗務員)が座る「ジャンプシート」への着座体験など、格納庫見学のスタンダードな内容も実施されています。

「FDA 整備部Presents!秘密の格納庫ツアー」の様子(2021年3月20日、乗りものニュース編集部撮影)。
FDAによると、当初コックピットの見学を要望する見学者が多く、この要望に応えたいといったところから始まったといいます。「コックピット以外の時間をいかに楽しんでいただけるか」といった観点から、20個程度の案を出し、安全性をはじめさまざまな点から検証を重ね、このツアーが実現したそうです。
なお、今後もこの「大盤振る舞い格納庫ツアー」は不定期とはなるももの、「継続して実施したい」とのことでした。