東京都世田谷区の「環八通り」沿いに立つ案内標識は、一般的な「丸ゴシック」ではなく「角ゴシック」が使われています。なぜこのようなフォントになったのでしょうか。
交差点の手前などに設置されている、道路の目的地・通過地の方向などを示した案内標識、いわゆる「青看」の文字は、丸みのあるゴシック体が特徴です。
しかし、東京都世田谷区の「環八通り」の「環八東名入口」交差点に立つ案内標識は、「角ゴシック」が使われており、新鮮な印象を受けます。なぜ「角ゴシック」が使われているのでしょうか。
「角ゴシック」のフォントを使った「環八東名入口」交差点に設置されている案内標識(乗りものニュース編集部撮影)。
標識を設置・管理しているNEXCO中日本にフォントについて問い合わせたところ、「NEXCOの設置する標識であるため、NEXCOの設計要領に基づいて制作している」とのこと。
一般道の道路の構造物、舗装や標示は、国道では国土交通省の「設計便覧」に基づき設計され、道路標識の具体的なデザインについては、各地方整備局で制定される「土木工事標準設計図集」にフォントが明記されています(地方自治体はそれぞれこれらに準ずる)。ここでは案内標識のフォントとして、丸ゴシック体の「ナール」が規定されています。
一方、NEXCO各社は先述のNEXCO独自の設計要領を有しており、その中の「標識編」には、「ヒラギノ角ゴシック」が明記されています。
つまり、一般道に設置される青色の案内標識であっても、あくまでNEXCOが自前で設置する標識はこの設計要領に書かれたフォントが採用されるため、「角ゴシックの青看」が誕生したというわけです。
NEXCOはかつて、高速道路の緑色の案内標識に「公団ゴシック」の愛称を持つ、独特のフォントを使用していました。遠くからでも視認しやすいよう、漢字の一部を省略するなど合理化したデザインです。しかし、新たな漢字を使用するたびに文字をデザインするなど手間がかかるため、2010(平成22)年からは現在の既存フォント「ヒラギノ角ゴシック」などを採用しています。

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