世界には、日本の常識からすると驚くような交通ルールがあります。なかには独特の国内の交通事情によるところもあるようです。
車を運転する人も自転車に乗る人も、徒歩で移動する人も、交通ルールは当然守らなくてはなりません。しかし国が変われば交通ルールも変わるもの。日本の常識が通用しないこともあります。今回は世界の国々の少し変わった交通ルールを紹介します。
●ドイツやオーストリアの場合
ドイツなどの高速道路「アウトバーン」には一部、"速度無制限区間"があります。ここでは200km/h、300 km/h出しても合法ということになります。ただし推奨速度は130km/hです。アウトバーンは1930年代から順次建設が進められ、現在は総延長約1万3000kmとなっています。
ドイツ デュッセルドルフのアウトバーン(画像:ewastudio/123RF)。
また、ドイツやオーストリアでは一般道の速度制限も日本とは違い、自動車(3.5tまで)および二輪車は100km/hになっています。
アウトバーンに制限速度がなかったとしても、上述の速度規制区間や混雑区間が各地に点在しているため、すぐに速度を落とさざるを得ない、というのが実情でもあるようです。
●タイの場合
タイでは渋滞対策のため、車線の一部を逆向きの車線に切り替えることがあります。
日本でも東京都内などで、「中央線の位置を時間帯で変更する」という交通規制が行われているところがありますが、タイではより大胆なようです。
タイ大使館も日本から訪れる観光客向けに「バンコク都内は時間別の交通規則を採用している場所もあることから、通行方向や走行車線が一定せず複雑であるため、事前に走行ルートをよく確認」と注意を呼びかけています。
柔軟な対応とも言えますが、日本での実現には、法整備はもちろん、標識の両面化や料金所の構造など、超えるべきハードルは高そうです。
うちは月曜日、お隣さんは火曜日に通行止め!?●アジア諸国の場合
フィリピンやインドネシア、インドほかアジア各国の主要都市では、渋滞緩和のため、クルマのナンバープレート末尾の数字で、特定の日の通行を規制する「ナンバーコーディング」制度の導入が進んでいます。
フィリピンの場合、月~金曜日にそれぞれ2つずつ数字が割り当てられ、ナンバーの末尾が当てはまる曜日は通行禁止というものです。例えば「ナンバープレートの数字の末尾が1もしくは2の車は、月曜日は通行禁止」といったルールです。

交通渋滞が深刻なジャカルタでは、専用道を使用したバス交通「トランスジャカルタ」が普及している(乗りものニュース編集部撮影)。
インドネシアの場合、首都ジャカルタの一部道路では、2016(平成28)年からナンバー末尾による規制が行われています。こちらは曜日ではなく日付によるもので、末尾が奇数のクルマは奇数日、偶数のクルマは偶数日のみ通行可能となります。なおこれに違反した場合、日本円で約4000円の罰金(もしくは2か月の禁固刑)が課されます。
インドでは2019年から、大気汚染対策として首都ニューデリーでナンバーコーディングを実施。
一方、フィリピンの一部では近年、このナンバーコーディングは「運転手のみで運行するクルマ」にのみ適用されているそうです。目的が交通量の抑制であるため、一元的に全車へ規制を課すのではなく、相乗りを推奨するというやり方にシフトした形になります。
このように、国によっては日本では考えられない交通ルールが存在します。海外旅行へ出かける際には、ガイドブックなどで事前に確認が必要かもしれません。