伊豆諸島の南に位置する八丈島の空の玄関口「八丈島空港」は、空港両端が山に囲まれた特殊な立地が特徴です。実はここ、着陸に技術が求められる空港なのだとか。

実際に客室から着陸を体験してきました。

東洋のハワイと呼ばれたことも

 東京都心から南へ約300kmに位置する八丈島は、伊豆諸島でも大島に次ぐ人口規模の島です。旅客機で羽田から1時間弱の距離でありながら、一年を通して気温の変化が小さく「かつては東洋のハワイと呼ばれ、観光客でにぎわった」(農林水産省)場所でもあります。

 八丈島は、南部に三原山、北部に八丈富士(西山)がそびえ、その中央に平野部が開けているという独特の地形が特徴です。平野部から少し八丈富士側のところに、同島の空の玄関口、八丈島空港があります。

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八丈島空港(2021年7月31日、乗りものニュース編集部撮影)。

 この空港の滑走路は、ほぼ東西方向に設置されており、たとえば西側から着陸する際には、客室左側に八丈小島と八丈富士、右側に三原山が望め、他の空港にはない絶景を味わえます。一方、この空港に降り立つパイロットにとっては、着陸操作に技術を求められる場所ともいえるでしょう。

 とあるパイロットは八丈島空港を「風の流れが非常に複雑で、風速は低くても気流が安定しない空港」と評します。これは先述したふたつの山が、滑走路の南北それぞれわずか3km前後にあるためだそうです。

実際の着陸を体験してみた!

 記者がFDA(フジドリームエアラインズ)機のチャーター便に搭乗した際は、先述した気流の影響からか、着陸直前にほかの空港より若干揺れが強くなりました。なおこの日(2021年7月31日9時頃)は快晴ではありましたが、北東から秒速5mの風が吹いていました。

このとき、同じ伊豆諸島の三宅島に吹いていた風は、東北東約秒速3mだったそうです。

 そして先述のパイロットによると、滑走路にもポイントが。八丈島空港は「中央付近をピークにして両滑走路端に向かって0.4%の下り勾配となっている」とのこと。これは着陸時、上り勾配に接地することになることを意味し、パイロットにとっては着陸の降下角度が接地寸前で変わってしまうということにもなります。

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八丈島空港に駐機するFDA機(2021年7月31日、乗りものニュース編集部撮影)。

 搭乗時も接地の際にはドシンとした衝撃が走りましたが、そこはパイロットも職人。八丈島空港で着陸失敗による事故は発生していません。これは同空港に乗り入れる国内のパイロットや航空会社の、長年にわたる経験と高い技術力の証といえるのではないでしょうか。

【絶景→揺れ→ドシン!】動画で見る八丈島への着陸
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