2021年の東京オリンピック開会直前、東京のパトカーに警視庁のシンボルマスコット「ピーポくん」が“乗る”ようになりました。なぜそうしたのか、そのいきさつを聞きました。

ただ、すべてのパトカーに乗っているわけではないようです。

2.6台に1台の割合で貼られている「ピーポくん」

 警視庁は日本の首都・東京の治安を守る日本最大の警察組織です。警視庁には約1300台のパトカーが配備されていますが、最近、ある変化がありました。それはパトカーに「ピーポくん」ステッカーが貼られるようになった点です。

「ピーポくん」が貼られているのは、パトカーの屋根上に設置されている赤色灯の昇降装置です。前面に「警視庁」と入っている台座部分の左右と後方の計3か所に、敬礼する姿で貼られています。

なぜ? 東京のパトカーに「ピーポくん」一斉出現! 経緯&範囲...の画像はこちら >>

警視庁のパトカー。いわゆる警ら用無線自動車の昇降装置のアップ(柘植優介撮影)。

 ただ、都内のパトカーをよく見てみると、昇降装置のないパトカーや、交番や駐在所などでおもに用いられる小型のパトカーなどには貼られていません。

 一体、いつから始まった施策なのか、また貼る・貼らないの線引きはどこにあるのかなどを、警視庁広報課に聞いてみました。

 まず、パトカーに「ピーポくん」ステッカーを貼るようになったのは2021年6月29日(火)からだといいます。東京オリンピックの開会日が7月23日(金)だったので、その1か月ほど前から始まったようです。

 始めた経緯については「治安の最前線で活躍する地域部の警ら用無線自動車(パトカー)に、警視庁のシンボルマスコット『ピーポくん』を貼付することで、従来の精悍さにソフトでスマートなイメージを加えることにより、警視庁の持つ“強さ”と“やさしさ”を具体的に表現し、警視庁の存在をより広くアピールするため」だといいます。

 では実際、「ピーポくん」ステッカーを貼っているパトカーはどの程度あるのか尋ねたところ、約500台とのこと。警視庁にはおよそ1300台のパトカーがあるため、単純計算で約2.6台に1台の割合で貼られていることになります。

交通取締用パトカーは「ピーポくん」ステッカー適用外

 警視庁広報課によると、「ピーポくん」ステッカーを貼っているのは、警察署および自動車警ら隊など、地域部で運用する警ら用無線自動車(パトカー)だといいます。地域部というのは、文字どおり地域に密着して安全の確保に努めている部署です。制服や制帽を着用し、交番や駐在所などで勤務したり、パトカーや自転車などで巡回したりしている、警察庁のWEBサイトでは「警察活動の原点」と紹介されている職種です。

 地域部所属の警ら用無線自動車に限定して貼付されているため、たとえ白黒のセダン型パトカーであったとしても、交通機動隊や高速道路交通警察隊、機動隊などの車両は該当せず、加えて「ミニパト」と呼ばれる小型警ら車や、ワンボックス車(犯罪抑止対策活動車など)も貼付の対象にはならないようです。

 また「ピーポくん」ステッカーの貼付は恒常的に行う方針とのことで、今後、地域部に新たに配車になる警ら用無線自動車には、配車された時点でステッカーを貼付する予定だそうです。

なぜ? 東京のパトカーに「ピーポくん」一斉出現! 経緯&範囲を警視庁に聞いた

警視庁のパトカー。いわゆる警ら用無線自動車(柘植優介撮影)

 なお、警視庁のマスコットである「ピーポくん」、生まれたのは1987(昭和62)年4月17日です。名前は人々という意味の「ピープル」と、警察を意味する「ポリス」の頭文字を合わせたもので、耳が大きいのは都民の声を幅広く聞くため、頭のアンテナは社会全体の動きをキャッチするため、目が大きいのは社会の隅々まで見渡すためという意味が含まれているといいます。

 ちなみに、「ピーポくん」にはおじいちゃん、おばあちゃん、おとうさん、おかあさん、いもうと、おとうとがおり、なんと7人家族でした。

編集部おすすめ