離陸前の「ポーン」チャイムの秘密もわかりました。

西日本で唯一、実機さながらの振動や加速度を味わえる

 北九州を拠点とする航空会社、スターフライヤーでは、平時パイロットが実際の訓練で使っているフライトシミュレーターを一般客が体験できる異色のイベント、「FFS Dream Flight」を不定期で実施しています。

 ここでは、「西日本で唯一のフルフライトシミュレーター」(スターフライヤーの星川鍾根機長)の体験ももちろんのこと、プロのパイロットの操縦を間近で見ることができる、というのも大きな魅力といえるのかもしれません。

プロのパイロットの操縦、間近で見たらスゴすぎた! スターフラ...の画像はこちら >>

スターフライヤー機(2021年4月、乗りものニュース編集部撮影)。

 旅客機は自動化が進んでいる乗りものといえます。スターフライヤーが用いているエアバスA320型機の場合、ひとたび空にあがってしまえば、自動操縦を使って目的地までたどり着くことができます。ただその一方、マニュアルで実施されているところも多々あります。

 このシミュレーターの最大の特徴は、操作に合わせて空間が動くこと。パイロットが離陸操作を行うと、実機さながらの振動や加速度を感じることができます。つまり、パイロットの操縦の技術を感じることができます。

 星川機長のシミュレーターによるフライトは、マニュアル操縦でも、自動操縦と全く違いが感じられないほどの安定したものでした。なお取材時、星川機長には、北九州空港を離陸し高度5000フィート(約1500m)で巡航したのち、福岡空港へ着陸といったコースを飛んでもらいましたが、もちろんこういったフライトは現実の定期便にはありません。

北九州→福岡へのフライトを間近でみてきた!

 現実のフライトにおける自動操縦については、星川機長によると「3人目のパイロットと考えている」とのこと。意図したとおりの高度、速度、方向を飛んでいるかを常に確認をしつつ「忙しいときなどはしっかり任せて、安全性を高める」(星川機長)といいます。

プロのパイロットの操縦、間近で見たらスゴすぎた! スターフライヤー異色イベント

スターフライヤーが保有するフライトシミュレーターの外観(2021年4月、乗りものニュース編集部撮影)。

 一方、前出の通り現実のフライトでもマニュアルで行われる操作は多々あります。たとえば、離陸の直前に客室内に鳴り響く「ポーン」というチャイム。この音はパイロットが、頭上のパネルを操作して流しています。

そして、自動で行うこともできるものの、多くの場面でマニュアルにて行われる操作が、着陸です。星川機長はその理由を「技量を維持するため」と話します。

 取材時のシミュレーターでは、パイロットの目視によって滑走路まで任意のルートを飛ぶ「ビジュアルアプローチ」と呼ばれる方式で着陸をしてもらいましたが、このときは、着陸直前の低空状態(ダウンウインド)で180度旋回をしなければなりません。また、着陸進入のコースは周辺が山に囲まれているので、そこも気をつけなければいけないとのこと。

 同氏は旋回を難なくこなし、最終進入では左手に握る棒状の操縦かん「サイドスティック」を細かく調節します。一方で、シミュレーター施設内の挙動はまさに安定感抜群。星川機長によると、巨大な旅客機で高い安定感を保つコツは「あまり操縦かんを動かさないこと」だそうです。

※一部修正しました(9月26日16時43分)。

【プロの技、間近で見ちゃいました】動画で見る!スターフライヤー機長の操縦
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