山形県には、並び方が「黄・青・黄」の信号機があります。見通しの悪い場所などで、前方に交差点があることを知らせる予告信号機です。
赤がなく「黄・青・黄」の信号機。
灯火がこのように並んだ信号機を、山形県では比較的多く見かけます。雪国なので縦型です。この信号機、基本的には「上下の黄色が交互に点滅」したのち、「中央の青色」が点灯しますが、中には黄色の点滅だけのタイプもあります。並び方もしかり、特殊な表示をするため、他県の人が見たら驚くかもしれません。
上から順に「黄・青・黄」の予告信号機。山形県では一般的だが、横にしたタイプは山口県にも存在する(2021年9月、乗りものニュース編集部撮影)。
これは予告信号機といい、見通しの悪い交差点の手前や、信号機の少ないバイパスなどで久々に信号交差点が登場する場合に設置されます。いずれも注意喚起でドライバーへ減速を促し、信号待ちしている前車への追突を防止するなどの目的があります。
信号機は「道路交通法施行令」の第3条によって灯火の並び順が規定されています。しかし予告信号機はこれに該当せず、各都道府県警察が交差点ごとの交通事情に合わせて設置しています。
例えばお隣の宮城県は一般的な「青・黄・赤」の信号機がほとんどです。「予告信号」という標識が付いているものの、表示は前方交差点の信号機と一緒です。残る東北4県は、いずれも黄色1灯式が多く見られますが、岩手県のものは常に点滅を繰り返すのに対し、福島県は前方交差点が青信号の際は「消灯」するものも見受けられます。同じ“1つ目”でも、その表示方法が異なるのです。
「2つ目」ほか「全て黄色」も消灯する予告信号機は東京都にも多数存在します。表示方法は先述した福島県のパターンと同じ。3灯式で中央の黄色が点滅もしくは消灯します。
お隣の神奈川県には“2つ目”タイプがあります。色はどちらも黄色。ほとんどは同時に点滅します。
ちなみに“2つ目”タイプは大阪府や和歌山県、愛知県、島根県などにも存在しますが、いずれも2灯の黄色が交互に点滅します。

東京都の予告信号機。前方交差点が青信号の際は「消灯」し、黄もしくは赤信号の際は、中央の黄色が点滅する。故障しているわけではない(2014年6月、大藤碩哉撮影)。
冒頭の山形県タイプ「黄・青・黄」は、遠く離れた山口県にもありますが、並び順を変えた「青・黄・黄」が徳島県に存在します。表示方法は山形県と同じですが、場所によっては青色が点灯せず、黄色が交互に点滅するタイプも存在します。
熊本県には、一般的な3灯式であるものの全てが「黄色」の予告信号機があります。中央の黄色は点灯せず、常に左右の黄色が交互に点滅します。
ちなみに、予告信号機はほとんどの場合、それが予告信号機あることを示す標識が付いています。これも地域によってまちまちですが、「予告信号灯」「予告灯」「補助信号」「この先信号機あり」「信号注意」などの表記が見られます。クルマは予告信号機の表示にかかわらず、その先の交差点にある停止線まで進めますが、注意喚起のために設置されていることを念頭に置き運転するとよいでしょう。