世界屈指の自動車メーカーであるフォルクスワーゲンには、世界でも稀なミニバンがあります。それが自ら製造するキャンピングカー「フォルクスワーゲン T6.1 カリフォルニア」。
キャンピングカーは大抵、市販車をベースにキャンピングカービルダーが改造、製作していますが、自動車メーカー自らが純正キャンピングモデルとして製造している世界でも稀な例が、「フォルクスワーゲン T6.1 カリフォルニア」です。
カリフォルニアは、フォルクスワーゲン商用車会社が製造するワンボックスカー「トランスポーター」をベースとして、キャンパー専用に足回りをはじめ各部をチューニングのうえ製造しています。
フォルクスワーゲンT6カリフォルニア(イシグロン撮影)。
トランスポーターの初代はタイプ2、いわゆるワーゲンバスと呼ばれていたもので、約70年前に登場した初代のT1から始まり、最新モデルはT6.1という世代となっています。
T1からT4までは、キャンピングカービルダーの老舗であるウエストファリア社が蜜月の関係で架装をしていましたが、ウエストファリア社がメルセデス・ベンツに買収されたのを機に、T5にて世界初の自動車メーカー自らが製造する本格的キャンピングカー、カリフォルニアが誕生したのです。
「カリフォルニア」の装備は?キャンピングカーの装備として、屋根が上方へ起き上がるポップアップルーフを有しており、その中に大人2人が寝られます。また、下のリアシートを畳んで展開するベッドにも大人2人が寝られるため、合計4人が車中泊可能な作りとなっています。
シンク、コンロ、冷蔵庫といったキッチン、リアに取り付けられるシャワー、サイドから展開するターフであるオーニング、車内で展開する折り畳みテーブル、車外で使える折り畳みテーブル&チェア、自転車が4台搭載可能なサイクルキャリア、ピラー内蔵式のカーテン、エンジンを止めても作動するパーキングヒーター、各種収納など、キャンプや車中泊をするのに便利な装備が満載。

リアシートを畳んで展開するベッド(イシグロン撮影)。
全ての装備が綺麗に収納されており、インテリアのデザインやクオリティに後付け感がまったくないのは、さすが自動車メーカー純正ならでは。家具は軽く丈夫にするためアルミを多用しており、旅客機のエアバスを手掛けているメーカーが製造しています。
さらに、カリフォルニアの優れている点は、走行性能が高いこと。ベースとなっているトランスポーターは、高級なプロの道具といった趣で、ボディ剛性が高くて、乗り心地も良く、シートは長時間座っても腰が痛くなりません。4モーション、すなわち4WDモデルを選択すれば、高速走行時や雨、雪などの悪天候時でも安定性が非常に高くなります。
ボディサイズは、全長4904mm×全幅1904mm×全高1990mm。キャンピングカーとしては取り回しのしやすいイズです。
「カリフォルニア」は日本でも買える!カリフォルニアは、日本のフォルクスワーゲン正規ディーラーでは販売されていないものの、並行輸入業者などで購入することが可能です。

折り畳みテーブルを展開し、移動オフィスに(イシグロン撮影)。
2005年よりT5~T6.1カリフォルニアをヨーロッパより累計380台以上直輸入している東京・千駄ヶ谷にある「ルパルナス」でカリフォルニアについて話を聞いたところ、「メルセデス・ベンツVクラス、シトロエン・スペースツアラー、ルノー・トラフィック、フォード・トランジットなどの架装キャンパーと、ヨーロッパのアウトバーンなど高速道路で高速巡行して乗り比べると、圧倒的に走行性能が高い」とのこと。「キャンプだけでなく、移動オフィスや災害時に大切な家族やペットを守るシェルターとしてお薦めしています」と説明してくれました。
カリフォルニアは、価格が1000万円以上するため、キャンピングカーとしては高価ですが、自動車メーカー純正であることから洗練されていて、かつ使い勝手がよく、クルマとしても高性能な点などが特徴といえるでしょう。
普段はミニバンとして使用しながら、週末はキャンプに行って大人4人が車中泊できる、要は500万円のクルマ2台を1台にまとめている、そのように考えると、前出の価格設定も納得できるのではないでしょうか。