ジェットフォイル「セブンアイランド友」の整備が行われているドックを見学するツアーに同行。「空飛ぶ船」が飛ぶための水中翼やガスタービンエンジンも間近で見られました。
202年10月23日(土)、東海汽船主催のツアー「船旅アンバサダー小林希さんと行く! 御船印めぐりツアー」が開催されました。ジェットフォイル「セブンアイランド大漁」や東京湾フェリー「かなや丸」乗船の他、ドックで整備中の「セブンアイランド友」の様子を見学できる、船づくしのツアーです。
久里浜港に停泊中の「セブンアイランド大漁」(乗りものニュース編集部撮影)。
「セブンアイランド友」がドック入り(入渠)したのは、千葉県富津市にある造船所 アイ・エス・ビーのドック。同社は、今回のようなドック作業のほか、貨物船や消防艇など多くの船を建造しています。
ドック入り(入渠)はクルマの車検に相当する作業で、1年に1度、船を陸に上げ、大掛かりな検査・補修を実施します。セブンアイランド「結」「愛」「友」「大漁」の4隻のドック作業は、すべてアイ・エス・ビーで行われているそうです。
ドックでは、陸にあげられた「セブンアイランド友」の姿が。ふだんは水中にあって見られないジェットフォイル船の特徴である水中翼も露になっています。船首の前部水中翼、船体後部に後部水中翼とも点検・整備が行われていました。
印象に残ったのは、方向舵の役目を果たすフォワードストラットや、前部水中翼もピカピカだったこと。これらは、少しでも海水の抵抗を減らすべく鏡面仕上げになっています。
ジェットフォイルは、ガスタービンエンジンで発生した動力をウォータージェット推進機に伝え、海水を高速で噴出させて航行するという、普通の船舶とは全く異なる構造です。高速航行中は船体が水面から浮き上がるため、「空飛ぶ船」とも呼ばれます。
通常の船舶が使う重油ではなく、軽油を使用するガスタービンエンジンは、ロールスロイス社製。非常に高価なため、中古エンジンを使用しているそうですが、新品エンジンはもう製造されていません。
整備中のガスタービンエンジン。左側から空気を取り入れる(乗りものニュース編集部撮影)。
ガスタービンエンジンはその複雑な機構ゆえ、点検にも時間がかかります。セブンアイランド船体そのものの入渠期間はおよそ3週間ですが、ガスタービンエンジンは2~3か月もかかるため、あらかじめ整備を行っていた予備のエンジンと交換するそうです。
セブンアイランドは、最大速力43ノット(約80km/h)と船としては桁外れのスピードを誇りますが、それは燃費も同様で、東京から大島まで約1時間45分の航海で3000リットルもの軽油を消費するそう。
なお「セブンアイランド友」はメンテナンス終了後、10月末ころから運航に復帰する予定とのことです。