ANAが世界に先駆け発注した旅客機「ボーイング787」が、就航10周年を迎えました。これを記念し同社では「記念フライト」を実施。

この便を担当した機長、タダモノではありません。同氏にコクピットからみた787について聞きました。

初代訓練部長&初号機の空輸も

 ANA(全日空)の主力機のひとつ「ボーイング787」が、まもなく就航から10周年を迎えます。ANAは、ボーイング787のローンチカスタマー(初期発注者)として、2004(平成16)年に世界で初めてこのモデルを発注しました。初の有償フライトもANAで、定期便就航を直前に控えた2011(平成23)年10月26日のチャーター便でした。

 2021年10月1日時点で、ANAは76機の787を保有(787-8:36機、787-9:38機、787-10:2機)しています。そして、いまや世界的にみても、787は多くの航空会社で主力級の活躍をしている旅客機であることは、広く知られてるところです。

就航10周年! ボーイング787はどんな機体? ANA「ミス...の画像はこちら >>

「10周年記念フライト」となった31日広島行きNH679便。導入2号機「JA802A」が使用された(2021年10月31日、乗りものニュース編集部撮影)。

 この「ボーイング787」はどのような旅客機なのでしょうか。ANAが10月31日(日)、2011年11月1日の定期便運航初日と同じ羽田~岡山線、広島線の計4便で、「10周年記念フライト」を実施しました。出発地の羽田空港では、イベントが実施されました。

 このとき広島行きNH679便を運航した早川秀昭機長が取材に対応。同機を「性能が抜群によく、世界ナンバーワンの安全性をもち、快適も非常に高いと思います。乗務できて幸せです」と紹介します。

 この早川機長、“タダモノ”ではありません。同氏は初代訓練センターB787訓練部部長を務め、初号機「JA801A」のシアトルからの空輸も担当した“787の安全運航のエキスパート”“ミスター787の機長”ともいえる人物です。

コクピットから見た787の特徴って?

 早川機長によると現在のボーイング787は「就航当初は世界初であったゆえに、見えない部分でトラブル等もありました。10年間の運航でこれが落ち着き、とても良い飛行機になったと思います」といいます。

 コクピットから見た787の特徴について同氏は、以下の2点を挙げています。

「かつて『クラシックジャンボ』と呼ばれるボーイング747を操縦していたときは、『大きい飛行機とくらべて、小さいものは風の影響を受けやすい』といった印象がありました。でも787はその意味では全く違います。スキーでコブの面をなめらかに行くように、揺れに強い印象を受けました」

「787に最初に乗ったとき、国際線運航などで機体が重い状態でも、早くスッと上昇できるという性能の高さに驚きました。パイロットにとって早く高度を取れるということは、選択肢が増えるということに繋がります。

揺れにくい高度も(他機より早くパイロットが)選べるので、お客様の快適性にもつながるのではないかと思います。就航直後は国際線を飛ぶと(性能が良い故に)まったく違う高度を飛べるので、ほかの機種の情報が役に立たない――というくらい違いました」

初号機空輸は「こんなに恵まれちゃって…」

 ちなみに、787の操縦はボーイングの大型旅客機「777」と共通化が図られており、早川機長も787に乗務前は777を担当していたとのこと。「787のコクピットに初めて入ったとき、(777と)ほぼ同じだ」と感想を抱いたそうです。「ただ操縦のやり方は一緒だけど、787のシステムはコンピューターを駆使して自動化されて、進化しています。操縦は777と比べてもやりやすいと感じました」と話します。

 同氏の一番の787の思い出は「初号機のデリバリーを担当できたことでしょう。『こんなに恵まれちゃっていいのかな』と思った記憶があります。そのあとは安全に運航すべく、積み重ねで仕事をしてきました」とコメント。就航10年について同氏は「ここまで来たんだな、もう10年経ったのか」と所感を話します。

就航10周年! ボーイング787はどんな機体? ANA「ミスター787機長」に聞く“スゴさ”とは

ANAの早川秀昭機長(2021年10月31日、乗りものニュース編集部撮影)。

 2021年9月時点で、ANAのボーイング787が累計で運航した便数は31万便にも上ります。この裏には、早川機長をはじめとする同社のパイロットのたゆまぬ努力があってこそ、というのは間違いないでしょう。

 早川機長が乗務するNH679便は導入2号機「JA802A」が担当。修学旅行生など237人の旅客を乗せ、午後13時過ぎに羽田空港を出発し、広島へと向かいました。同便の前に運航された「10周年記念フライト」であるNH653便(岡山行き)では、かつて早川機長が日本へ運んだANA向け787-8初号機「JA801A」が使用されています。

 ANAグループでは、就航10周年を記念して「787 10周年プロジェクト」を開始。ANAは、今回の「記念フライト」を皮切りに「お客様に感謝の気持ちをお伝えできる企画を順次実施予定」としています。

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