整備士からみた超ゴージャス「空の貴婦人」とは…。
1960年就航2021年に創立70周年を迎えたJAL(日本航空)。
JALのDC-8初号機、つまりJAL初のジェット機である「FUJI号(機番:JA8001)」は1960(昭和35)年に就航しました。それから60年以上たった2021年現在、JALからDC-8は全機退役しているものの、FUJI号の機首部分は、羽田空港の格納庫の片隅に保存されています。その機内はどのようになっているのでしょうか。
JALのDC-8(画像:JAL)。
機内は客室とコクピットの2つのパートに分かれます。
客室は、日本の伝統美をテーマにした機内ラウンジが残ります。ここは、現在では耐火基準で使うことができない障子や木枠を用いた窓枠、西陣織の座席が特徴です。このほか、CA(客室乗務員)が座るジャンプシートや電話機も備わり、ファーストクラスの座席も設置されています。座席に備わった灰皿、高速バスのような荷物棚が、60年前の旅客機であることを物語ります。
DC-8はコクピットも現代の旅客機とは異なります。
航空機関席のテーブルの端には、燃料投棄の際に使う装置があります。JALによると、必要となった際にはテーブル下からハンドルを取り出し、それを装置にはめ込みハンドルを回すのだとか。コクピットの上には、航空士のための天測航法用装置も。エンジンの出力を調整する「スラストレバー」は、4発機ゆえに4つにわかれているのが特徴です。
では整備士から見ると、現代の旅客機とDC-8、どのようなところが違うのでしょうか。DC-8の整備にも携わったJALエンジニアリング黄葉 延寿さんに聞きました。
整備士から見る「DC-8はこんな飛行機」黄葉さんによると「DC-8のエンジンは非常に大きな音で、黒鉛を吐いて飛んでいました」といいます。「甲高い音で、離陸時にも特徴的な音色があった」(JAL)としています。
DC-8の整備の思い出について黄葉さんはこう話します。
「DC-8はケーブルで動かす箇所が多かったことから、その調整に苦労した記憶がありますね。

羽田空港のJAL格納庫に保管されているDC-8の機首部分(乗りものニュース編集部撮影)。
黄葉さんはDC-8と比べ、現代の旅客機は「いろいろな不具合をコンピューターが教えてくれる点や客室の快適性やエンターテインメントシステムなどが進化しています」といいます。一方でDC-8は「人間の整備感がかなり出る機体」で、「人間とメカニズムとの融合により、整備士が育てられる旅客機であったと思います」と称しました。
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