横浜で開催されたボートの見本市にて、レクサスの高級クルーザー「LY」が披露されました。高級車ブランドならではのこだわりを内外装に詰め込んだ船は、価格も並大抵ではありません。

レクサスLY披露 テリー伊藤さん「世界に通じる船」

 トヨタ自動車が誇る高級車ブランド「LEXUS(レクサス)」が、横浜ベイサイドマリーナの“水面”に現れました。その名は「レクサスLY650」。文字通りレクサスブランドのフラッグシップとして開発されたラグジュアリーヨットで、船首から船尾に至る流れるようなフォルムは他のヨットとは一線を画したデザインとなっています。同船が日本で公開されるのは初めてのことです。

 LY650は、「日本ボート・オブ・ザ・イヤー2021」の特別賞に選ばれており、選考委員のテリー伊藤さんも「船内も含めて世界に通じるデザインの船ができた。まだ数は少ないが、日本にもどんどん来るようになってほしい」と期待を寄せています。

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横浜ベイサイドマリーナに展示されたレクサスLY(深水千翔撮影)。

カラーが選べる美しい船体

 LY650は2022年3月31日から横浜市で開かれた「ジャパン・インターナショナル・ボートショー」で展示されました。

 トヨタは「LY」を、セダンの「LS」、クーペの「LC」、そしてSUVの「LX」に続くレクサス第4のフラッグシップと位置付けており、設計も同社のレクサスチームが手掛けています。

 全長19.94m、全幅5.76m、定員は15人です。レクサスが持つ曲線のイメージを大事にし、矢のようなデザインを踏襲。クーペのようなルーフラインや船尾の豊かなボリュームを強調する造形で、航走性能の高さを強調しています。

クラス最大級の船幅を活かしたダイナミックな船体形状も含め、一目でレクサスとわかる独自の存在感を作り出し、フライブリッジ仕様のクルーザーでありながら、流線形の優美な外観を実現しました。船体の随所にあしらわれた「L」のロゴマークは、この船が確かにトヨタ・レクサスの一員であること示しています。

 さらにLY650が従来のクルーザーと違う点として、船体が全て塗装されていることがあげられます。カラーバリエーションとして、2トーンカラーをオプション設定し、デザインの基となった「LEXUS Sport Yacht Concept」のイメージを再現。カッパーやシルバー、グレー、ホワイトなどの色を選択できます。

船のなかに入ってみると… シャワールームいくつあるの!?

 インテリアは先進的なデザインに日本のおもてなし思想を融合した、レクサスならではの上質さを追求。イタリアのヨットデザイン会社Nuvolari Lenardとコラボし、白を基調とした明るく開放感のある室内空間に、曲線主体の意匠と独創的な照明を組み合わせました。

 サロン内には、前方に操船席とソファ、後方にギャレー(キッチン)を効率的に配置。バーベキューを焼くグリルやコーヒーメーカーも置かれており、ワインクーラーも取り付けることができます。サロン階下には、2m超の頭上空間を確保したベッドルームとしてマスターステートルーム、VIPステートルーム、ゲストステートルームを設置。それぞれに専用のシャワールームも完備されています。

「つながるクルマ」ならぬ「つながるボート」

「海のレクサス」LYみてきた! 世界にまだ4艇 ド迫力のフル塗装クルーザー 価格もぶっ飛び
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船内に配された「L」のロゴマーク(深水千翔撮影)。

 LY650はレクサスならではの航走を追求するため、操船性能でもこだわりを見せています。

 パワートレーンは船体下部に個々に操縦可能なポッドを備えたVolvo Penta IPSシステムを2基搭載。流体解析技術を駆使した独自の船底形状との融合により、高出力と低燃費の両立に加え、航走安定性と操縦性にも優れるといいます。速力は35ノット(約65km/h)まで出すことができます。

 操舵席にはタッチ操作が可能なインストルメントパネルを採用。ハンドルやシートもレクサスブランドのデザインを取り入れています。また、低速時や離着岸時にはジョイスティックでの操船も行えるうえ、定点保持やオートフラップなども装備しています。

 船底とブリッジ上部にはCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を採用し、軽量かつ高剛性な構造と、高い航走性能、快適な乗り心地を実現しているそうです。主要な壁には防音性に優れたサンドイッチパネルを使用し、静粛性を確保しています。

 また、スマートフォンとの連携も特徴のひとつです。スマホでエアコンやライトを遠隔操作したり、船の状態をモニタリングし異常が起きた際はメールで告知したりするボートコネクティッド技術「LY-Link」も搭載しました。

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 現在、LY650は今回公開されたのを含めて世界に4艇存在します。

価格は4.5億円からとのことですが、実際に展示された艇の価格は6億円以上。生産は米Marquis Yachtsが行うことになっています。コロナ禍もあって生産を停止しているものの、企業オーナーを中心に興味を持っている人がいるとのことです。トヨタは北米市場を中心になるべく数多く販売したい考えを示しています。

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