日本でも徐々に普及しているBYD(中国)の電気バス、その新型が発表されました。車内後部まで段差のない「フルフラットバス」の電気版をいち早く導入。

それを実現したのが新型のバッテリーです。

フラット車内にデカい窓 可能にしたのは?

 中国の電池・自動車メーカーであるBYD(比亜迪)の日本法人ビーワイーディジャパン(横浜市)は2022年5月10日(火)、新型の電気バス2車種を発表し、都内で記者会見を開催しました。

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BYDの新型「K8」車内イメージ。車内後部までフルフラット構造(画像:ビーワイディジャパン)。

 BYDはバッテリーメーカーから発展し、電気自動車やバス、トラックなどを製造。2021年グループ売上高は4.1兆円に上ります。日本では2015(平成27)年に同社の電気バスが京都で導入されて以降、これまで64台が納入されており、国内電気バスのシェアは約7割を占めるとのこと。

 発表された2車種はいずれも路線バス用途のもので、日本でも一般的な全長10.5mの大型「K8」と、コミュニティバスなどに適した全長約7mの小型「J6」です。

●大型バス「K8」

 このうち大型のK8は、車内後部まで段差のない「フルフラット」のレイアウトを電気バスとして初めて実現。車いす利用者なども後部までスムーズに移動できるといいます。

 フルフラットバスは現状、東京都の発注で作られた輸入車(スカニア/ボルグレン)が都営バスとして走っていますが、国産車はありません。今年2月にいすゞと日野が合弁会社のジェイ・バスにて、2024年度から電気フルフラットバスの生産を開始すると発表しましたが、BYDの車両はそれに先んじる見込みです。

ビーワイディジャパンの花田晋作副社長は、「フルフラットのニーズは非常に高い」と話します。

●小型バス「J6」

 一方、小型のJ6は、車両後部にも大型の窓ガラスがあり「車内の抜けがよい」ことが特徴とのこと。また、座席も従来より2つ追加されています。小型バスは、ディーゼル車ならばエンジンが、BYDの従来型J6ではバッテリーが車両後部を占有するため、小さなリアガラスしか設けられませんでした。

 これら新型2車種では、バッテリーを床下に配置することで、フルフラット構造や大型リアガラスの設置につなげています。それを可能にしたのが、新型バッテリーです。

薄い!新型「ブレードバッテリー」

 新型2車種には、2021年に開発された「ブレードバッテリー」が採用されています。「“刀”のような細長く平たい形状をしたバッテリーセルそのものをバッテリーパックの1つの構造部品としています。そのため、従来の車載用バッテリーで一般的なモジュールを無くし、薄型形状のバッテリーセルをより多くバッテリーパックに収めることが可能となりました」と説明されています。

 結果、バッテリーパックの空間利用率にして従来比50%アップという非常に薄いバッテリーを、床下に平べったく配置することで、車内レイアウトの自由度を高めたそう。これにより、乗車定員はJ6で31人から36人に向上しています。K8は従来モデルと同様に81人とされていますが、「もっと増やせる」(花田副社長)とのこと。

 また、バッテリー容量や航続距離もそれぞれ1~2割向上しており、J6は充電時間約2.5時間で航続距離220km、K8は約6.5時間で270kmだそうです。ブレードバッテリーにより品質も確保されることから、バッテリーの保証期間を従来から3年延長の「8年または40万km」とし、日本の公共交通の使われ方に合わせるといいます。

「電気フルフラットバス」登場 中国BYDが新型発表 新型バッテリーで車窓も大きく
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会見するビーワイディジャパンの花田晋作副社長(中島洋平撮影)。

 両モデルとも本日5月10日より予約受付を開始していますが、納車は2023年度末になるそうです。それでも「すでに成約いただいている」(花田副社長)のだとか。

 ビーワイディジャパンは2030年までに国内へ4000台の電気バスを納入する目標を立てています。ただ、花田副社長によると「今年に入って電動化の意識がさらに加速しており、(2030年までに4000台は)それほど難しいことでなくなっている」と話します。

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