1980年の今日、日本向けの「イーグル」戦闘機F-15Jが初飛行しました。昨今は小松基地所属機の墜落事故を受け注目されていますが、高い制空能力を活かして今後も近代化改修を受けながら、当分のあいだは主力戦闘機として日本の空を守っていくようです。
1980(昭和55)年の6月4日は、戦闘機F-15Jが初飛行した日です。マクドネル・ダグラス(現ボーイング)が開発したF-15C「イーグル」を、三菱重工業が主契約会社となり日本仕様に小改良したうえライセンス生産したもので、2022年現在も航空自衛隊の主力として運用されています。
F-15J「イーグル」(画像:航空自衛隊)。
そもそもF-15「イーグル」は、アメリカがベトナム戦争で苦戦を強いられた反省を活かす戦闘機として誕生。索敵能力や目標識別能力に優れた高性能レーダーの搭載に加え、高い運動性能や速力向上に寄与する機体構造、合計25万馬力相当といわれるほどの高出力エンジンを2基搭載するなど、いうなれば当時の英知を結集して開発されました。このため空対空戦闘能力に関しては、比肩する機体がないといわれるほどの高性能を誇っています。
ただ、高性能ゆえに非常に高価であり、制空戦闘機型のF-15Cを導入したのは、母国アメリカ以外には日本とイスラエル、サウジアラビアの3か国にとどまります。
F-15Jの基本スペックは、固定武装として20mmバルカン砲1基、赤外線誘導式の短射程空対空ミサイルならびにレーダー誘導式の中射程空対空ミサイルを搭載し、最大速度はマッハ約2.5、航続距離約4600kmです。航空自衛隊は複座型(ふたり乗り)のF-15DJを含めて計213機を導入し、現在も約200機を運用していますが、うち半数は導入当初からほとんど能力が変わっていません。これらは今後、最新のステルス戦闘機F-35Aへ置き換えられる予定です。
F-15Jの能力向上(F-15JSI)とは?航空自衛隊では残り半数、すなわち100機程度のF-15Jについて電子装置や武装の近代化を進め、例えばレーダーを見ても、より射程の長い空対空ミサイルの発射を可能としたほか、電波妨害への対処能力も向上させています。ただ2020年7月、ボーイングは三菱重工業とのあいだで、F15Jの能力向上改修作業を支援する契約を締結。
これにより、長射程空対地ミサイルの運用能力も獲得するなどして、多用途戦闘機としての装いが強くなるでしょう。

F-15J「イーグル」(画像:航空自衛隊)。
初飛行から40年あまり。そのようななか、一昨日6月2日(木)、航空自衛隊航空幕僚監部は1月に小松基地所属のF-15DJが起こした墜落事故について、その調査結果を発表しました。原因は操縦者の空間識失調によるもの、いわゆる「バーティゴ」の状態にあった可能性が高いというものです。
航空幕僚監部は再発防止策として、機体面では警報などを発し操縦者の認知を回復させたり、自動的に衝突を回避するシステムを搭載したりすることなどを挙げています。