国内唯一の国立パイロット養成機関、航空大学校の帯広分校は、JALのパイロットによると、「原点」といえるような場所なのだそうです。どのようなところで、どのような飛行機を使っているのでしょうか。
航空会社でパイロットになるにはいくつか方法がありますが、そのなかでメジャーな手段のひとつが、国が設立した唯一の公的エアライン・パイロット養成機関「航空大学校」に進学するというものです。この「パイロットの原点」は、どのようなところなのでしょうか。
JAL(日本航空)のパイロットが「本気で企画した」という日帰りチャーターフライト「帯広空港でボーイング737を満喫 日帰りチャーター」が2022年6月11日に実施。その一環で、同校の帯広分校の格納庫に行くことができました。
JALの日帰りツアーで見学が実施された航空大学校帯広分校(2022年6月11日、乗りものニュース編集部撮影)。
航空大学校に入学した学生は、まずは本校のある宮崎で座学を積んだのち、帯広へ移り、ここで半年ほど実機の訓練を積むといいます。ここでの訓練後半には、学生が初めて教官が同乗しない「ソロフライト」も実施するのだそうです。
訓練に使用される飛行機は、シーラス社の2人乗り、単発プロペラ機「SR22」。巡航速度は最大で時速378km、高度1万7500ft(約5335m)といったスペックです。ただこの「SR22」、訓練機としてさまざまな機能を持っているとのことです。
「SR22」特有のスペックとは?航空大学校帯広分校で使われているプロペラ機「SR22」は、脚を格納できない「固定脚」のタイプ。しかし、格納・展開の練習ができるよう、脚を操作するダミーのレバーがついており「警告もちゃんとでるようになっている」(航空大学校帯広分校の担当者)といいます。
また同機の最大の特徴は、不時着など緊急時用のパラシュートが装備されていることなのだそう。このほか高い安全性を保ったまま訓練できるよう、ボタンひとつで水平飛行に戻す機能や、パイロットが気を失ってしまっても、酸素が十分ある高度まで自動で降下する機能などを備えているとのことです。

JAL「帯広空港でボーイング 737 を満喫 日帰りチャーター」の様子(2022年6月11日、乗りものニュース編集部撮影)。
「帯広の特徴は雪と風です。雪の中で最初のフライト訓練をしたことや、ソロフライトのときに大雪にあたり、すぐに帯広へ帰ろうとしたものの、悪天候でなかなか降りられなかったことなどを思い出します。航空大学校を出て航空会社に就職すると、別の会社に同期がいるなど、広い知り合いができるのが特徴かなと思います」同校を出て、JALに就職したパイロットは次のように話します。
なお、この日の日帰りチャーターツアーでは、JALのボーイング737の外観、機内見学会や、パイロットによる模擬ブリーフィング(出発前の打ち合わせ)を中心とするトークショーなども実施されています。