Uberと聞くと日本では「ウーバーイーツ」が有名ですが、祖業はライドシェアサービスです。日本ではあまり普及していないUberのサービスを、レッセフェール(自由放任主義)である香港で実際に利用してみました。
香港は昔からレッセフェール(自由放任主義)という考えが浸透しています。つまり、政府は経済に関して企業活動に大きな制約を設けていません。その代わり、何かあったら責任を自分で取って処理してくださいというスタンスが基本。このため交通ジャンルでは、ライドシェアサービスのUber(ウーバー)も以前から普及しています。
Uberタクシーのイメージ(画像:Uber)。
「ウーバーイーツ」の名は、フードデリバリーサービスとして日本でも広く知られていますが、もともとはスマートフォンのアプリからタクシーなどを呼べるライドシェアサービスが始まり。香港ではもはや身近な存在になっているUberを体験してみました。
まずはアプリをダウンロードします。名前、電話番号など必要事項を登録。Uberはアプリなので、決済電子決済で済ませるというのが基本的なポリシーです。自身のクレジット番号を入力し完了。ちなみに、日本語にも対応しています。
では実際にタクシーを呼んでみましょう。アプリを開くと「乗車場所を指定してください」という画面が表示されます。その横では乗車時刻が「今すぐ」か「希望の時刻」かを選択できます。筆者(武田信晃)は「今すぐ」を選択しました。
乗車場所は建物の名前、住所などを登録します。もし位置情報をONにしていれば、地図上からも選択できます。建物にしろ地図にしろ、アプリ内には詳細な地図情報が内蔵されていて、かなり正確に自分のいる場所を設定できました。その後、行き先も登録します。
ただの移動、されど選択の余地あるサービス筆者は取材で訪れていた「Haw Par Music」というかつてのタイガーバームガーデン前付近で乗車し、香港の地下鉄の一大ターミナル駅である「Admiralty Station」を目指すことにしました。すると地図とルートが表示され、所要時間は6分、料金は67.46香港ドルとあります。
なおその下に、1人利用の料金として「UberX」の表示が。これだと5分以内の到着で78.46香港ドルだそう。

Uberのアプリ。まずは行き先と到着地を登録(武田信晃撮影)。
続いてコロナ禍のため、マスクを着用する、窓を開けるなどといった車内でのルールが表示されたので、同意します。次にクルマの種類(今回はプリウス)とナンバー、ドライバーの名前が表示され、地図によれば150m先にいるようで、1分もしないうちに到着。あっさりと乗車できました。ドライバーは客の快適性を考え、助手席を最も前方までスライドさせて後席スペースを広げているなど気を使っており、プリウスながら広い空間です。
乗車後は、地図通りに車が動いているかどうかをスマホで確認しつつ、ドライバーと会話。Uberの仕事を本業にしていること、1日平均10~20人乗せて、その売上は1500香港ドルほどであることなどを教えてくれました。
会話に花を咲かせ、あっという間に目的地へ到着。支払いはクレジットカードなので「ありがとう」だけを言って下車しました。下車場所はタクシー専用のエリアでしたが後ろにもタクシーがおり、さらにその後ろも詰まっていたのですぐ走り去っていきました。
下車後はUberから「乗車ありがとうございました」というメッセージを受信。そこには確定料金、乗車時刻、下車時刻、乗下車した場所の住所、ルート、距離、所要時間が表示されていました。「評価とチップを追加するか」との項目があったので、筆者は最高である5スターの評価と5香港ドル追加し、最終的に83.46香港ドルの課金をもってUber体験を終えました。

ドライバーへの評価とチップの画面。なおチップは任意なので払わなくてもよい(武田信晃撮影)。
乗車記であるならば少々波乱があったほうがいいのでしょうが、Uberに関してはチップや評価項目までもアプリ内で完結し、サービスは思った以上にきちんとしていました。
Uberはロンドン、パリ、ニューヨークなどでも使えます。事前に目的地と料金が確定しているので、もし遠回りされても、通常より高い料金を支払うこともありません。また、言葉の壁の心配がないのも大きいでしょう。予約もでき、かなり利便性が高い印象です。円安というファクターは別として、日本人も海外旅行で使えるサービスであることは間違いないと思います。