船の名前には女性の名前がつけられたり、代名詞として「she」が使われたりもします。なぜ船を女性扱いすることが多いのでしょうか。
「クイーン・エリザベス号」や「サンタ・マリア号」のように、なぜか船には女性の名前がつけられることが多く、英語では代名詞として「she」や「her」がよく使われます。たとえば、タイタニック号沈没の新聞記事でも“The Titanic started her trip…”と書かれているなど、なぜ船には一般的に女性のイメージがあるのでしょうか。
空母クイーン・エリザベス。イギリス海軍史上最大の軍艦(画像:アメリカ海軍)。
その理由は諸説ありますが、一つとして、自分たちを守ってくれる船の庇護者的なイメージが、女神や聖母の持つイメージと重なっていたから、などといわれます。
言語学的な背景も指摘されます。英単語「ship」の語源は古英語「scip」という中性名詞で、もともと女性的なイメージはなかったといいます。しかし11世紀以降ノルマン人がイングランドを支配したことで、英語はフランス語の影響を大きく受けました。その際、古フランス語で「船」を意味する女性名詞「Nef」が入ってきたといいます。いまだに英語で船を女性扱いするのも、この古フランス語の影響の名残りだともいわれます。
ジェンダー的にはよろしくない?しかし最近では船に対して「it」を使うことも増えてきています。
ジェンダ-的に中立な社会が求められる現代。イギリスの帝国戦争博物館(IWM)も、船をsheと呼ぶことは、今や一般的ではなくなっており、むしろsheの呼び方は古い伝統を指す場合があるとしています。言葉のニュアンスが変化しているようです。