2022年、海外では航空機そのものを「空飛ぶホテル」として造る案がいくつか公開されました。そのなかには、従来の航空機の概念を覆す驚愕の内容も。

収容人数から動力に至るまで度肝を抜くような発想が現れました。

仏に誕生?「世界最大の旅客機まるごとホテル」

 航空機そのものを移動手段ではなく、ホテルとして用いる取り組みは、少ないながらも実在しています。実は海外では2022年、実現可能性はさておき、この新たな案がいくつか公開されました。そのなかには、従来の航空機の概念を覆すものも見られます。

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仏・トゥールーズにあるエアバスA380(乗りものニュース編集部撮影)。

●エアバス社のお膝元に「世界最大の旅客機まるごとホテル」が誕生か?

 ヨーロッパの航空機メーカー、エアバス社が本拠を構えるフランス・トゥールーズのブラニャック空港。ここに「世界最大の旅客機」として知られるエアバスA380をそのままホテルとして改修するという、「Envergure」計画が発表されています。

 機内は31の通常客室と2つのスイート客室で構成されるほか、機体の隣の建物には60席を配するレストランも建設される予定です。

 通常客室は、2人向けの「スタンダードルーム」、3~4人向け「デラックスルーム」の2種類から構成されます。ともにクイーンサイズのベッド、浴室(シャワー・トイレ付き)、オフィススペースを備えているとのことです。

 機体最前方、最後方はスイート・ルームとなります。最前方のスイート・ルームは、コクピットがオフィススペースとなるほか、キングサイズのベッドを備えたベッドルーム、バスタブとトイレ付きの浴室などが備わります。

最後部は、客室最後方の階段(航空会社によっては乗務員の移動のみに使われることも)を活かした2階構造のスイート・ルームとなり、2室のベッドルーム、トイレ付きの浴室などを備えます。

 発案者はエアバス社で15年間航空エンジニアとして勤務した人物で、退役したA380をスクラップすることなく、その設計を新たな形で再利用する「アップサイクリング」を目的としているそうです。

世界が驚愕 超巨大「空飛ぶホテル」

●超未来&駆動装置も凄い!5000人収容&20発エンジンの「飛行機型ホテル」とは

 イエメンの科学動画クリエイター、ハシェム・アル・ガイリ(Hashem Al-Ghaili)氏が2022年6月、公式YouTube上で、まるで飛行機のような形状を持つ、空飛ぶ宿泊施設「SKY HOTEL(スカイホテル)」のイメージ動画を公開しました。このホテル案は、通常の旅客機では考えられないような巨大さと駆動装置を特徴とします。

なんじゃこりゃ!? トンデモ「航空機まるごとホテル」案が誕生の22年 5000人収容&20発原子力駆動、A380も
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「スカイ・ホテル」のイメージ(Hashem Al-Ghaili公式YouTubeより)。

 この「スカイホテル」は5000人を収容できる大きさを持ち、イメージ映像では全長70mを超える「ジャンボ・ジェット」ことボーイング747がミニチュアに見えてしまうほどの規格外サイズです。乗客(宿泊客)は、通常の旅客機を上空でドッキングすることで輸送するとしています。

 館内にはショッピングモールやジム、プールや映画館などを備えているほか、空が見えるエレベーターや展望ドームなども設置。垂直尾翼の上部には円盤のような設備がついており、ここは外の景色を360度見渡せるホールになっているとのことです。

 そして駆動装置は、原子力で動く20基のエンジン。このことで、数年間のあいだ無着陸で上空に留まることができるほか、給油の必要がほとんどなく排気ガスも出さずに空に浮かぶことを可能としています。

 動画はハシェム氏が、海外のデザイナーが作成した原案をベースに動画として“具現化”したもので、実際にこれを設計するというものではない状況ですが、あまりに革新的なコンセプトだったことから、世界中で話題を呼びました。

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 ちなみに、先述のふたつの「航空機まるごとホテル」ほどではないものの、通常のホテルの部屋に本物の航空機パーツをはじめとするグッズたちを展示するコンセプトルームは、国内でも2022年現在、JAL(日本航空)やANA(全日空)が展開しています。

【映像】なにもかも規格外!!「スカイホテル」の全貌&機内などを見る
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