60年前の1963年1月9日、ソ連の試験航空機「Yak-36」が初飛行しました。
ソ連が本格的に開発開始したVTOLソ連のVTOL試験機「Yak-36」(画像:SDASM Archivesサンディエゴ航空宇宙博物館)。
今から60年前の1963年1月9日、旧ソ連(ロシア)の試験機「Yak-36」が初飛行しました。
通常の飛行機は滑走路で助走し、その速度で揚力を得る必要があります。しかし軍用機では、実戦の場で滑走路を毎回作るわけにはいきません。そのため、ヘリコプターのように垂直離着陸が可能な飛行機、いわゆるVTOL機の開発が、第2次世界大戦後から本格化していきました。
そのような世界的潮流のなかで旧ソ連が開発したのが、既存の試作機を改造したYak-36です。先頭部のブタ鼻のようなジェット吸気口が特徴的で、ジェットノズルを下に噴射することで垂直移動ができる仕組みでした。
満を持して迎えた試験の日。この日は初飛行といっても、まずは「垂直に離発着できるか」だけが試され、これについては無事成功しました。3年後には、ようやく垂直離陸から水平飛行へのモード切り替えにも成功します。
しかし本運用へと至るには問題が多く、特に「噴射した熱い排気がそのまま吸気口からまた取り込まれる」「そもそもノズルの噴射が左右うまく調整できない」という根本的欠陥はいかんともしがたく、設計見直しが必要となるほどのレベルでした。
この反省を生かして作られたのがYak-38です。同機では、機体上部からも吸気できるようにするなど様々な改良を加えることで、問題を解決。