2月13日、ラトビアのクリシュヤーニス・カリンシュ首相が飲酒運転に対する新たな制裁措置が許可しました。なんと、飲酒運転者から押収したクルマをウクライナに寄付するというものです。
ラトビアの現地時間2023年2月13日、クリシュヤーニス・カリンシュ首相が飲酒運転に対する新たな制裁措置が許可しました。なんと、飲酒運転者から押収したクルマをウクライナに寄付するというものです。
ウクライナ行きを待つ飲酒運転者から押収したクルマ(画像:ラトビア立法府)。
ラトビアでは、2022年11月に刑法が改正され、血中アルコール濃度が0.15%以上の運転手からクルマを押収するという法律になりました。この血中濃度はいわゆる酩酊状態と判断される濃度です。なお、同国では血中アルコール濃度が0.05%から飲酒運転扱いです。ちなみに日本では0.03%で酒気帯び運転扱いとなっています。
2008年から同国では、飲酒運転で血中アルコール濃度が0.15%以上だった場合は、罰金と5年間の運転免許証の没収が行われていましたが、刑法改正によりクルマの押収が加わった形です。現地メディアの報道によりますと、同法が施行されてから1か月の段階で既に押収したクルマで警察が確保した駐車場が満杯になり、保管場所に困るという事態が発生したようです。
同国ではこれまで押収した車両を州歳入庁に渡し、オークションにかけて売るという方針を取っていました。 しかし、今回の決定で押収した車両を、無料でウクライナに送ることになります。
リトアニア、エストニアと共にバルト三国を構成するラトビアは、かつて日本では「人間の鎖」「バルトの道」などソビエト連邦からの独立運動でニュースになりましたが、欧州ではアルコール消費の高い国家としても知られています。OECD(経済協力開発機構)が2020年に発表した「ひとりあたりのアルコール消費量が多い国」ランキングでは欧州1位で、ひとりあたりの年間消費量は12.1リットルとなっています。
同国は、ウォッカにさまざまなハーブや果実などを調合した、バルサムというリキュールが特産で、酒税が安いことでも有名です。そのため、リトアニアやエストニア、フィンランドなどEU加盟の近隣諸国から越境して酒の購入や飲酒をしに行く人もいるほどで、北欧屈指ののんべえの聖地になっています。ちなみに外務省ホームページに掲載されている同国滞在時の留意事項には「挙動がおかしい車を見かけたら、飲酒運転などの可能性がありますので、注意して下さい」という文言があります。
実は、飲酒運転の他にアルコール依存症も同国では社会問題となっており、最近では税制の改革も含めて論議されているようです。

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