ダンプカーの荷台には、地名と「営」などの漢字、そして番号が書かれていることがあります。ナンバープレートとは別に存在するこの「ゼッケン」、どのような意味があるのでしょうか。

ダンプの荷台の文字や数字は「ゼッケン」

 大型ダンプカーの荷台には「品川 営 23456」などと、地名や数字が書かれていることがあります。ナンバープレートとは別に存在する番号類です。どのような意味なのでしょうか。

ダンプにはなぜ「ゼッケン」があるの? 「品川 営 23456...の画像はこちら >>

土砂などを運ぶダンプカーの荷台には、数字や文字が書かれている。写真はイメージ(画像:写真AC)。

 この荷台の表示は「ゼッケン」と通称されています。「土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法」、通称「ダンプ規制法」に基づくもので、大型ダンプカー(最大積載量5t以上または車両総重量8t以上)のなかでも土や砂利、コンクリートがら、砕石などを公道で運ぶ車両に表示義務が存在します。

 地名と数字のあいだには、その車両を使う会社の事業に応じて、丸囲みで「営(運送事業)」「石(採石業)」など7種類のいずれかが書かれます。

 地名は多くの場合、その車両が登録される運輸支局または検査登録事務所の名称が2文字で表示されます。したがってナンバープレートの地名と意味合いは同じですが、表記は一部異なります。

 大阪のなにわ自動車検査登録事務所ならば「なに」と表示されますが、「とちぎ」ナンバーが交付される佐野自動車検査登録事務所の場合は「佐野」、「尾張小牧」ナンバーが交付される愛知県の小牧自動車検査登録事務所では「小牧」です。

 また、いわゆるご当地ナンバーの表記はなく、もとの運輸支局または検査登録事務所の名称になります。

たとえば「杉並」ナンバーであっても、ゼッケンは「練馬」です。

 番号は最大5桁ですが、関東運輸局によると、これは事業の種類ごと届出順に指定されるそうです。

ゼッケンなぜ必要? 悲しい事故の記憶

 なぜこのような表示がなされるかというと、土砂運搬車などはナンバープレートが汚れて見えづらくなることが多いためです。

 ダンプ規制法は、制定のきっかけになった事故がありました。

 1966(昭和41)年12月15日、現在の愛知県豊田市の国道153号で、居眠り運転していたダンプカーが、一時停車していた小型トラックに追突し、その2台が園児約50人の列に突っ込み、園児10人、保育師1人が死亡、22人が重軽傷を負ったものでした。当地には慰霊碑もあります。

 これを受けて1967(昭和42)年には規制法が成立。当時はダンプカーによる事故が多発していたことから、ゼッケンで使用者を判別しやすくし、無謀な運転を抑制するという目的がありました。

 しかし、それから半世紀以上を経て、事業者の負担や、事故件数が減っていることを理由に、トラック協会などから関係当局へ規制緩和の要望も寄せられています。

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