フランス航空宇宙軍の「ラファール」戦闘機とA400M輸送機が初めて来日しています。その快挙に合わせ、航空自衛隊は特別塗装を施したF-15「イーグル」を用意。

どんなデザインなのか近くで見てきました。

日の丸と三色旗をバランスよくミックス

 2023年7月26日(水)から29日(土)までの日程で、宮崎県の航空自衛隊新田原基地を中心に行われている「日仏共同訓練」。この訓練に参加するため、フランス空軍(正式名称フランス航空宇宙軍)の主力戦闘機である「ラファール」が飛来しましたが、同機が来日したのは初めてとのことで、話題になりました。

 2023年7月現在、フランス空軍は「ペガース23」というアジア太平洋地域への派遣作戦を行っており、これには10機の「ラファール」戦闘機の他に、合計で19機の軍用機と320名の将兵が参加しています。彼らは6月25日にフランス本国を出発すると、それからアジア・太平洋地域の様々な国やフランスの海外領土を訪れ、多国間演習などにも参加しています。

よく見りゃ「イーグル」「ラファール」の形だ! 初来日のフラン...の画像はこちら >>

日仏共同訓練のために用意されたF-15J「イーグル」の特別塗装機。垂直尾翼と燃料タンクに図形がデザインされている(布留川 司撮影)。

 今回の日仏共同訓練も「ペガース23」の一環で行われたものですが、遠路はるばるやってきた友好国の軍用機を出迎えるために、航空自衛隊では2機のF-15J「イーグル」をドレスアップした特別塗装機(スペシャルマーキング機)を準備していました。

 特別塗装機は垂直尾翼にフランスと日本の国旗をあしらった旗が描かれており、その下にはフランス語で「Amitie entre le Japon et la France」と書かれています。その意味は直訳すると「日本とフランス間の友情」です。

 燃料タンクには長方形の図形が入れられていますが、中央には日の丸と「日仏共同訓練23」の文字が入れられています。また、よく見ると左が青、右端が赤でそれぞれ塗られており、フランス国旗と同じ配色になっています。

さらに、長方形の真ん中の白い部分は、両端が航空自衛隊のF-15とフランス空軍の「ラファール」のシルエットに縁取られており、よく考えられたデザインであることがわかります。

外国軍隊と交流する「イメージリーダー」として

 これら2機の特別塗装機は、初の来日となった7月26日にフランス空軍の「ラファール」戦闘機とA400M輸送機が飛来した際に、新田原基地から飛び立ち日本上空でそれらの機体を出迎えたそうです。通常とは異なるフランス国旗がデザインされた機体が出迎えてくれたということで、フランス空軍の乗員たちにも嬉しいサプライズになったことでしょう。

 その後、A400Mが先頭になって、F-15と「ラファール」による日仏の合同編隊飛行も行ったそうです。

よく見りゃ「イーグル」「ラファール」の形だ! 初来日のフランス軍機をもてなす特別塗装F-15を実見 空自の“変化”
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フランス空軍のA400M輸送機を先頭に編隊飛行する、フランス空軍の「ラファール」と航空自衛隊のF-15J戦闘機(画像:航空自衛隊)。

 もともと、航空自衛隊の特別塗装機は、部隊の記念行事や、航空祭などのイベントで用意されることがほとんどでした。しかし、今年(2023年)1月に茨城県の百里基地で行われたインド空軍との戦闘機共同訓練「ヴィーア・ガーディアン23」において、この共同訓練を記念して第3飛行隊のF-2戦闘機が用意されたことで、少し風向きが変わった模様です。

「ヴィーア・ガーディアン23」や今回の「日仏共同訓練」では、部隊交流や国際交流のために、さらに言うなら相手国や来日した外国軍をもてなすために特別塗装機を用意しているといえるでしょう。今後も航空自衛隊は外国空軍との日本国内での訓練を実施する予定ですが、このような趣向を凝らした機体が見られる機会が増えるかもしれません。

 ちなみに、今回のF-15特別塗装機は、「ヴィーア・ガーディアン23」のF-2と同様、塗装するのではなくステッカーシールを貼り付ける形で施工されたそうです。ステッカーシールを用いた方が、色使いや図形の自由度が高く、さらに塗装よりも作業時間が短くて済むという特徴があります。

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