「ジャンボ機」をベースにした異形の貨物機「ドリームリフター」。この機体はルックスもさることながら、世界でも4機のみという珍しい機体です。
民間航空機のなかには、「異形の機体」と呼ばれるようなユニークな形状を持ったものがときたま見られます。そうしたもののひとつで、世界的にはほとんど遭遇しないものの、“中部空港だけでほぼ日常的に見られる”という機体が存在します。「ジャンボ機」をベースに、さらに胴体後方が著しく大きく膨らんだ機体、「ドリームリフター」です。なぜでしょうか。
ボーイング「ドリームリフター」(乗りものニュース編集部撮影)。
「ドリームリフター」は世界でも4機のみが運用されています。「ジャンボ機」のひとつであるボーイング747-400をベースに、747で特徴的なコブ部分「アッパーデッキ」の後部がさらに大きく膨らんだユニークな形を持つ貨物機です。
この異質なルックスは、ボーイングの旅客機のパーツを輸送するため。おもにこの機は、JAL(日本航空)・ANA(全日空)の主力機である「787」のパーツを運ぶためにつくられたのでした。
貨物室は、縦7m、横7m、長さ30mで「ミニクーパーが80台入る」ほどの容積をもつのだとか。
そしてこの機が中部空港にだけ飛来するのは、787の製造において、中部空港周辺地域が大きな役割を担っているためです。
飛行機の製造は、さまざまな国の企業でつくられたパーツを航空機メーカーで組み立てることが多いのですが、787は、そのおよそ35%が中部地域で製造されたパーツで構成されています。主翼は三菱重工、川崎重工、スバルの3社が製作しており、787の特徴である複合材料の素材も、東レがボーイングと共同開発したものです。
これらの完成品をアメリカにあるボーイングの最終組立工場に輸送する、というのが、「ドリームリフター」のミッションで、同時に中部空港だけでよく遭遇できる理由です。

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