先端技術のかたまりともいえる現代の旅客機の多くは、自動操縦で巡航、そして着陸までこなせます。しかし、自動操縦での離陸はいまのところ、実用化されていません。
乗りもののなかで、最も自動化されているもののひとつが旅客機です。「先端技術のかたまり」ともいえる旅客機では、巡航中など多くの場面で自動操縦(オートパイロット)を用いるのが一般的です。アメリカのメディアCNNによれば「操縦士が手動で飛行機を飛ばすのは平均すると10分間にも満たない」とされるほど、空の世界は自動化が進んでいます
ただ、そのなかでもいまだにオール手動の操作があります。それは離陸です。なぜ例外なのでしょうか。
離陸するJAL機(乗りものニュース編集部撮影)。
離陸はオートスロットルなど補助的なものはありますが、人の手を介して行われています。JAL(日本航空)によると、ボーイングやエアバスなど航空機メーカーから提供されるフライトマニュアルで「このモデルはこの高度、もしくは時間に達するまでは自動操縦を使ってはいけない」というルールがそれぞれ決まっているとのことです。
「離陸操作は、条件や周囲の環境がほかの操作より複雑です。そのなかで機長は、自らの意思で判断や決定を行い、副操縦士とふたりで離陸手順をこなさなければならないので、地上から離れるまでは、手動で対応します」。ある航空系博物館の担当者は、次のように説明します。
「地上にいるときの飛行機は、他機と近くで絡む可能性が高いのです。たとえば出発前に着陸待ちの飛行機が滑走路に進入してくるなど、自分のすぐそばにいるたくさんの飛行機の動きを考慮にいれたうえ、自分も動かなければなりません」(航空系博物館の担当者)
特に離陸は、乗客数、機体の重さ、燃料の搭載量、その日の気象といった条件がフライトごとに異なり、それらすべてを考慮したうえ、機長が自分の意思で離陸を続けるか続けないかを判断しなければなりません。そうした理由から現状は「離陸していったん地上を離れるまでは手動で」というのが一般的なのだそうです。
しかし少なくとも現在就航している多くの飛行機は、離陸も自動操縦ができないわけではないともいいます。
たとえばエアバスでは、技術研究を目的とした飛行機の自律技術テスト「ATTOL(Airbus Autonomous Taxi,Take-Off&Landing)」というプロジェクトが進行しています。2020年1月には同社のA350-1000で、画像認識を用いた自動離陸のテストを成功させています。
この「自動離陸」機能は、画像認識のためのカメラの装備やフライトコントロールコンピューターの調整なども別途必要ですが、世界各国で飛行している同モデルへも、ソフトウェアのインストールを行えば付与可能とのことです。

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