現在ではあまり見ることがなくなりましたが、かつては、馬の蹄鉄をグリルに飾っていた車両が街で見られました。一体どのような目的があったのでしょうか。

グリルになぜか馬の蹄鉄 なんのため?

 1970年代から90年代くらいまでのクルマでは、馬の蹄(ひづめ)を保護する蹄鉄をフロントグリルにつけていることがありました。あれはどのような意味があるのでしょうか。

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馬の蹄鉄が付けられたクルマ(画像:乗りものニュース編集部撮影)。

 もともと、欧州で蹄鉄は伝統的に魔除けや幸運のアイテムとして使われてきました。そのため、地域によっては玄関に蹄鉄を飾る習慣があるほか、アクセサリーのデザインとして現在も使われています。

 クルマに蹄鉄を付ける文化は、欧州で生まれたもので、幸運を呼び込むゲン担ぎや、クルマの安全祈願のために使用されているようです。

 蹄鉄の向きによって、込められた願いが異なるといわれます。U字の開いている部分を上向きにしている場合は「幸運を受け止める」という意味があり、下向きの場合は悪いことから身を守る魔除けの意味があるそうです。クルマに使用する場合は上向きであることが一般的ですが、アクセサリーなどでは下向きのケースもあります。

 こうした蹄鉄のお守りを扱っているカー用品店の担当者に話を聞くと、「ドイツでベンツやBMWなどのクルマで見かけた人から始まり、日本でも高級セダンなどにつけるのが流行り広まったようです」と話します。また、「馬は人を踏まない」という日本の馬に関する言い伝えもあり、「歩行者を轢かない」「クルマをぶつけない」などの、交通安全のために付けたという意味合いもあるといいます。

 しかし、現在ではほとんど見かけることがなくなりました。

その件については「確かにグリルにつける人は減りましたが、車内に飾るお守り用などでは蹄鉄デザインのアクセサリーは販売されていますよ」と実はお守りとしての蹄鉄は形を変えて需要があることがわかりました。
 
 ちなみに、かつてメルセデスに所属したF1レーサーであるスターリング・モスは自身の車両に、幸運のシンボルとして蹄鉄を描いており、モスが2020年4月に亡くなった際は、メルセデスチームが敬意を表し、ルイス・ハミルトン選手とバルテリ・ボッタス選手の車両のフロントに蹄鉄が描かれた車両で、F1の70周年記念イベントにて走行したことがあります。