胴体上部が大きく膨らんだ形状が特徴で、とある航空評論家に「もっとも醜い航空機」と揶揄された民間機が、4発プロペラ貨物輸送機「スーパー・グッピー」です。なぜこのような形状となったのでしょうか。
とある航空評論家に「もっとも醜い航空機」と、そのルックスを揶揄された飛行機があります。胴体上部が大きく膨らんだ形状が特徴の4発プロペラ貨物輸送機「スーパー・グッピー」です。なぜこのような形状になったのでしょうか。
アエロスコピア航空博物館の「スーパー・グッピー」(乗りものニュース編集部撮影)。
「スーパー・グッピー」は、B-29を派生させた輸送機「C-97」、およびC-97の民間型「ボーイング377」がベースです。運航開始は1965年で、2024年現在はNASA(アメリカ航空宇宙局)が保有する1機のみが運用されています。ちなみにこのラスト1機の「スーパー・グッピー」のベース機であるC-97は1953年に運航を開始し、1997年に同局でデビュー。つまり、機齢は70年を超えているということになります。
C-97やボーイング377からルックスが大きく変わったのは、宇宙ロケットを運ぶという「特殊用途」に合わせたため。アメリカでは、西海岸で製作した宇宙ロケットを、東海岸の発射場まで輸送する必要がありましたが、そのミッションのために生み出されました。胴体上部が大きく膨らんだのも、宇宙事業関連の大型貨物を載せるためです。貨物室は幅約7.6m、長さ33.8mの貨物を収容できる大きさを持つほか、長尺の貨物を積み下ろしできるよう、機首が横方向に110度開くなどの特徴も有しています。
このような目的のために開発された「スーパー・グッピー」ですが、ヨーロッパの航空機メーカー、エアバスでは、最初の旅客機モデルである「A300」の製造にあたり、欧州各地で作られた翼や胴体などのパーツを組立工場へ輸送する役割のため、この「スーパー・グッピー」を導入しています。
なお、2024年現在、エアバスでは「スーパー・グッピー」の後継として、A330の胴体上部を膨らませた特別貨物機「ベルーガXL」、ボーイングでは「ジャンボ機」こと747-400をベースとした「ドリームリフター」を運用しています。
「スーパー・グッピー」は民間航空機メーカーにとって、パーツ輸送のために異形の改修を施された輸送機の「元祖」といえる存在なのです。

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