「超音速旅客機最大の課題」解決の糸口になるかも…?
「コンコルド」のような尖った胴体形状を持ちつつ…JAXA(宇宙航空研究開発機構)が、「コンコルド」のようなとがった胴体形状を持ちつつも、そこからさらに型破りな形状を持つ翼を備えた超音速旅客機のイメージ画像を公開しています。この旅客機の開発・研究はどのような目的で行われているのでしょうか。
JAXA「低ブーム設計技術を適用した超音速旅客機のイメージ図」(画像:NASA)。
同機関は「航空機が超音速で飛行すると、機体の周りに衝撃波と呼ばれる急激な圧力変動が生じます。これが地上に伝わると、衝撃性騒音のソニックブームとして観測され、民間超音速機の実現を阻む大きな障壁となっています」と現在の民間航空機の課題についてコメントしています。その対策のため同機関が研究を進めているのが、この「低ブーム設計技術を適用した超音速旅客機」です。
JAXAは、2015年に実施したD-SENDプロジェクトの飛行試験によって「低ソニックブーム設計概念」を実証し、ソニックブーム強度を従来の超音速旅客機の半分に低減する技術を獲得。さらにその後、低ソニックブーム設計概念をさらに発展させ、より広い範囲でソニックブームを静かにするための「ロバスト低ブーム設計技術」の研究開発を進めていくとのことです。
なお、このプロジェクトでは、「ロバスト低ブーム設計技術の飛行実証」と、「ロバスト低ブーム超音速旅客機の概念機体設計」を実施予定です。
前者は2028年頃を目処に全長10m程度の無人実証機を開発し、有人の飛行機に取り付けて分離する形で飛行試験を行う予定といいます。実証機は重力によって超音速に加速し飛び、そのとき生じるソニックブーム波形を地上から評価します。
後者は飛行試験で実証する「ロバスト低ブーム設計技術」を実機に適用して、静かな超音速旅客機の概念機体の設計を行うというもの。ここで設計する概念機体は、国連の専門機関であるICAO(国際民間航空機関)に提示して、ソニックブームに関する国際基準の策定に貢献する計画とのことです。
なお、アメリカではスタートアップ企業「ブーム」が超音速旅客機「オーバーチュア」の開発を進めており、すでに航空会社からの受注を獲得しているほか、2024年には「オーバーチュア」実用化のために開発された実証機「XB-1」の初飛行に成功しています。

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