首都高の「山手トンネル」を走るパトロールバイクの新型が公開。車両はホンダ製から海外製に変わりました。
首都高速道路は2024年11月5日、新型「パトロールバイク」のお披露目式を東京都内で開催しました。
首都高パトロールの新しい「黄バイ」(乗りものニュース編集部撮影)。
首都高のパトロールバイクは、全長18.2kmと日本一長い道路トンネルであるC2中央環状線「山手トンネル」の交通巡回用で、黄色い車体の通称「黄バイ」です。
これまではホンダのCB400という、公用車や教習車では一般的な車種が用いられてきましたが、新型はBMWの「F900XR」というアドベンチャータイプに。珍しい海外製もさることながら、排気量も一気に500ccアップし、中型から大型区分となりました。
「機動性の高いパトロールバイクで現場へ急行できることが、お客様の安心につながる」と、首都高パトロールの今泉伸一郎社長は話します。山手トンネルを管理する首都高の東京西局局長の原 隆広さんは、「アドベンチャータイプで、すごく精悍な印象。首都高を守る力強さを感じる」と評しました。
「黄色い(BMWの)バイクは初めて見ました」と話すのは、ビー・エム・ダブリューの長谷川正敏社長です。BMWのバイクは2020年に警視庁で電動モデルが採用され、箱根駅伝の先導車としても走っていますが、こうした公用車としての導入は2例目になるそうです。
首都高にBMWが採用されるきっかけとなったのも、この警視庁への導入があるそうです。
山手トンネルが最初に開通した2007年に配備された黄バイの更新にあたり、CB400が排ガス規制の適用などで供給できなくなるため、首都高側からBMWへパトロールバイクがつくれないか打診したそう。
BMWは世界の公用車の設計などを手掛ける「スペシャルカスタマーズ」で検討を実施。スピーカーを後方に1つ追加して3つにしたり、停車時の赤色灯使用を考慮してサブバッテリーを追加したりしたほか、車体の青いデカールは反射材となっており、様々な角度からの視認性に優れているといいます。
BMWモトラッドのテクニカルマネージャー 平野 司さんによると、首都高側スタッフがドイツで見たBMWのパトロールバイクのデザインを気に入り、首都高側からBMWへ原型のデザインを提案しているのだとか。
ちなみに、当初は必ずしも900ccバイクの想定ではなかったそうですが、パトロール隊は普段からバイクに乗り、ほぼみんな大型免許を取得しているため問題はナシ。従来より重量は30kgほど増加したものの、パワーアップしたことで業務のうえでもラクだそうです。
ビー・エム・ダブリューの長谷川正敏社長(右)から、首都高パトロールの今泉伸一郎社長へデモキーの贈呈(乗りものニュース編集部撮影)。
このBMW製の黄バイは、12月から3台が運用開始予定。残る6台も順次、同じバイクに置き換えていく予定です。
首都高では二輪の重大事故も増大傾向にあり、「バイク隊の役割はこれまで以上に重要です。今回はただの車両更新ではなく、安心・安全のゆるぎない決意を示しています」と原局長は話します。また、ビー・エム・ダブリューの長谷川社長は、「このご縁を機に、四輪車もサポートしたい」と意欲を見せました。

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