多くの子どもにとって憧れでもある「新幹線の運転士」。実は職場でオモチャを使っていました。

また知られざる運転テクニックがあるそうです。

新幹線運転士の訓練場所、なぜそこにオモチャ?

「電車の運転士」といえば、多くの子どもたちに人気の職業。それが新幹線ともなると、さらに憧れの度合いが高まります。ですが、そんな新幹線運転士の素顔を知る機会はほとんどないでしょう。

 2015年11月21日(土)、JR東海は「東海道新幹線のおしごとを学ぼう」ツアーで、新幹線の運転士が訓練をする名古屋運輸所(名古屋市中村区)を公開。そこには最新鋭の運転シミュレータなどに混じって、「プラレール」が置かれていました。

 今回実施されたツアーがファミリー向けのため、子どもが遊べるように用意されているのかと思いましたが、「普段からあります」とのこと。新幹線の運転士は鉄道好きで、休憩時などに「プラレール」で気分転換でもしているのでしょうか。

職場で「プラレール」を“活用”する新幹線運転士

 名古屋運輸所に普段からあるという「プラレール」。実はこれも、れっきとした訓練用の“教材”なのです。

 よく見るとこの「プラレール」、名古屋駅周辺の新幹線が再現されており、営業線や回送線、そして車両基地に至るまで、その配置が一目でわかるよう工夫されています。

「プラレール」はトラブル発生時に列車をどう動かすかなど、運転士が実際の線路をイメージしながら訓練するのに最適とのこと。

職場改善に向け、運転士自身が導入を提案したのだそうです。はっきりした時期は不明ですが、名古屋運輸所には、約10年ほど前にはすでにこの「プラレール」が存在していたといいます。

 世界に誇る、安全で高速・高頻度な運転を行う東海道新幹線。その運転士はなんとなく厳格なイメージを持たれがちかもしれません。しかし、訓練でオモチャを活用していると知り、急にその存在が身近なものに感じられました。

回送線で披露された新幹線運転士のテクニック

 今回、JR東海が実施した「東海道新幹線のおしごとを学ぼう」ツアーでは、通常は営業列車が走らない回送線を列車に乗って通過する体験も行われました。

 名古屋駅付近から車両基地(名古屋車両所・中村区)へ向かう日比津回送線には、途中で営業用の本線を乗り越えるための上り坂が存在。規程により、回送列車はちょうどその上り坂でいったん停車することになっています。

 そしてツアー参加者が乗った回送列車がそこを通った際、運転士のあるテクニックが発揮されていました。「坂道発進」です。

 クルマでは「坂道発進」を行うとき、サイドブレーキをかけたままアクセルを踏むことで、車体がずり落ちるのを防ぐ操作が可能です。しかし、新幹線の車両はブレーキを完全に解除しないと加速できない仕組みになっています。

そのため新幹線の「坂道発進」、少しでも操作のタイミングがずれると、列車は重さで後ろへ下がってしまうことがあるのです。

 この日、ツアー参加者を乗せた回送列車は、この「坂道発進」を完璧にクリア。乗っていた人は「坂道発進」をしたことすら感じていませんでした。

 これは、新幹線の運転士にとって当たり前にできなくてはいけない必須の操作だといいます。乗っている人には感じられませんが、それこそが、新幹線の運転士が高い運転技術を持つ証拠のひとつ、ともいえるでしょう。

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