宅配大手のヤマト運輸が保有する貨物専用機が広島空港へ飛来しました。広島空港への飛来は、今回が初めてです。
宅配大手のヤマト運輸が保有する貨物専用機「ヤマトの貨物機」が新たな取り組みを始めています。これまで首都圏(羽田・成田)を拠点に北海道(新千歳)、福岡(北九州)、那覇といういわゆる主要都市を結んでいたこの機が、2025年1月、「初めての地方路線」として広島空港へのテスト運航を開始しています。「ヤマトの貨物機」の地方乗り入れには、どういった狙いがあるのでしょうか。
広島空港へと飛来した「ヤマトの貨物機」(乗りものニュース編集部撮影)
今回の「ヤマトの貨物機」による広島空港発着テスト便は、複数回運航される予定です。ここでは実際に県内企業などから預かった貨物を載せた実運航を通じて、同空港への発着におけるグランドハンドリングのオペレーション、貨物専用機に搭載する品目の貨物オペレーション、さらに時間やコストなど顧客ニーズの検証が実施されます。なお、広島県の担当者によると「最終的には定期運航化を目指したい」とのことです。
広島空港のある中国・四国エリアは、農水産品のほか、半導体、自動車などの工業製品の生産も盛んに行われてるエリア。そのなかで、一般的にこうした宅配貨物の約5%は急いで届けるべきニーズを持つものだそうです。しかしこれまでは陸路による運航が中心であったため、従来は広島から首都圏の航空物流の拠点である成田空港まで10時間から1日かかるのが一般的だったとしています。
今回「ヤマトの航空便」が広島空港に就航することで、この所要時間は2時間弱に半減。北海道へも出発日中に到着ができます。
ここで得られるのは、航空貨物輸送における地方空港~国内、そして海外の「時間・距離」が短くなることで、とくに企業誘致における地域の競争力が強化するということです。地方は東京などに比べて地価や物価が安い一方で、貨物を届けるには時間を要するといったデメリットがありました。このデメリットを貨物専用機を用いることで解消できれば、企業誘致の点において、広島を拠点に置きやすくなります。
また、貨物専用機を設定することで、旅客便のダイヤに左右されない安定的なダイヤ設定が可能であるほか、旅客機に依存しているがゆえ、たとえばその路線の運航担当機が小型化してしまったことで、航空貨物の輸送に制約が出てしまうなどのリスクも回避できるとしています。
なお、ヤマト運輸は貨物専用機を今後の貨物輸送の主力として選択するのではなく、トラックや鉄道による貨物輸送のほかに、速達の必要性が高い航空貨物に対する選択肢のひとつとして貨物専用機を活用すると強調しています。

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