昭和・平成・令和の3時代を駆け抜けました。
約40年もの長きにわたって使われた「ご長寿艦」海上自衛隊練習艦隊は、練習艦「はたかぜ」が2025年3月17日(月)に退役したと発表しました。
2025年3月17日に行われた練習艦「はたかぜ」の退役式典の様子(画像:海上自衛隊練習艦隊)。
「はたかぜ」は、はたかぜ型護衛艦の1番艦として、長崎県にある三菱重工長崎造船所で1984(昭和59)年11月9日に進水、1986(昭和61)年3月27日に竣工すると、第1護衛隊群第61護衛隊(当時)に編入され、横須賀に配備されました。
以来、30年以上ものあいだ所属部隊は変わっても一貫して横須賀を母港にし続けますが、2020年3月、最新鋭イージス艦「まや」の就役に伴い、練習艦に転用されることが決定。艦番号を「3520」に、所属を練習艦隊第1練習隊に改めると、母港も広島県の呉基地に変更しました。
練習艦になった「はたかぜ」は、改装によって実習員用講堂や実習生用居住区などが設けられると、それから5年間、今度は呉基地を拠点に新たな任務に従事しましたが、老朽化に伴い退役することが決定。このたび38年もの長きにわたって掲げ続けた自衛艦旗を返納し、除籍されたのです。
「はたかぜ」の特徴は、いまでは珍しくなった回転式の対空ミサイル発射機を艦首に搭載していた点でしょう。「はたかぜ」のものは艦隊防空用の長射程ミサイル「スタンダード」を発射するためのもので、弾体がむき出しで装填・発射される構造のため、VLS(垂直発射システム)が当たり前となった現代からすると動きがメカニカルで、動作展示の際などは来艦者の注目を集めていました。
なお、そのような装置を艦首に備えたため、凌波性を確保すべく艦首舷側にはブルワーク(囲い板、舷墻:げんしょう)が設けられていますが、これまた護衛艦としては珍しい装備でした。
ほかにも艦砲を船体の前後に1門ずつ計2門装備していましたが、それ以降に建造された全ての護衛艦が艦砲は1門のみとなったため、大砲を複数備える護衛艦も、令和の時代では極めて珍しい存在でした。
「はたかぜ」の退役により、これら珍しい装備を備えた自衛艦は同型2番艦として建造された「しまかぜ」だけとなります。

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