レンタカーは「わ」ナンバー。そう思っていましたが、ある時「れ」ナンバー車を発見しました。
加減速が不自然だったり、妙な場面でブレーキを踏んだり、車間距離がスカスカだったり……前のクルマがこんな運転だと、正直イライラしてくるものですが、そのナンバーを見て「仕方ない」と納得することもあります。
貸渡用車のナンバーには「わ」だけではなく「れ」もある(乗りものニュース編集部撮影)
それはレンタカーなど貸渡用のクルマを示す「わ」ナンバーです。当のドライバーは乗り慣れないクルマを運転しているわけで、不自然な挙動になってしまうのは仕方ありません。前を走る「わ」ナンバーの運転が変だと感じる場合、筆者はしばし後続車に道を譲り、安定したクルマの流れに乗り直すようにしています。
ある時、筆者が長野県の諏訪湖の周回道を走っていると、同様の挙動不審なクルマに遭遇しました。クルマのリアにはレンタカー会社のステッカーが貼られており、ハンドリングや加速が不安定でした。
「危ないし眠くなるし、いつも通りやり過ごそう」と、後続車に道を譲ろうとした際、何気なくそのナンバーを見たところで驚きました。なんと「わ」ではなく「れ」ナンバーだったのです。
「わ」と「れ」、遠目に見るとよく似たひらがなですが、二度見してもやはり確かに「れ」。レンタカーに「れ」ナンバーなんて存在するのでしょうか。
気になって調べてみると、実は貸渡用車には「れ」ナンバーも存在することを知りました。これは一部の都市や観光地などで見られる現象で、レンタカー登録車が多くなり、当てがえるナンバーが枯渇した場合、「れ」ナンバーに登録するケースがあるそうです。
貸渡用「れ」ナンバーは軽自動車には存在しない「れ」ナンバーのレンタカーが存在するエリアは北海道、東京、長野、沖縄など。中でも興味深いのは北海道で、1990年代までは貸渡用車に対し「わ」ではなく「れ」ナンバーを独自に採用していたそうですが、後に本州に合わせて「わ」に統一。しかし、前述のように「わ」ナンバーが枯渇したことから2013(平成25)年以降、再び「れ」ナンバーが復活したのでした。
ただし、ここまでは普通乗用車に限っての話です。軽自動車の貸渡用ナンバーは「わ」のみで、「れ」は「り」と合わせて黒地に黄色い文字の事業者用ナンバーとして割り当てられています。
また2017(平成29)年1月からは、分類番号の下1桁または2桁にアルファベットが採用されるようになり、「わ」ナンバーの枯渇をできるだけ回避できる状態にもなりました。
「屁」を連想させるから… 存在しないひらがなとは余談ですが、クルマのナンバーには使われないひらがなもあります。理由とともに列挙してみます。

貸渡用車の基本は「わ」ナンバーだが、管轄エリアで「わ」ナンバーが枯渇した際に「れ」に移行する(画像:写真AC)
「お」……字形ゆえ「あ」「す」「む」と混同する可能性があることと、「を」と聞き間違える可能性があるため
「し」……「死」を連想させるため
「へ」……「屁」を連想させるため
「ん」……発音しにくいため
これらはナンバープレートでは絶対に見かけないひらがなですが、乗用車ならば、「れ」もレアな部類に入りそうです。