タクシーなどの旅客運送に必要な普通二種免許が取りやすくなりそうです。必要な教習時間を、学科と技能の両方で短縮。
警察庁は有償で運送を行う場合に必要な運転の二種免許について、取得の前提となる教習時間を見直し、学科と技能の両方で短縮します。制度改正の案が2025年4月18日に公示され、パブリックコメントが始まりました。
タクシードライバーに必要な普通二種免許の教習時間が短縮される。写真はイメージ(画像:写真AC)。
今回は、普通二種免許で改正前に必要だった最低教習日数が3日に改正されます。現行の6日から短縮され、土日や祝日を使うことで働きながらの取得もしやすくなりそうです。
普通二種免許は主にタクシー運転などで必要です。仕事として有償運送を行う場合は、普通免許資格があっても、日常的に他人の命を預かるため、より高度な知識と運転技術を必要とすることから、新たに二種免許を取得しなければなりなりません。
現行の制度では合計総時限数40時限が必要ですが、新たな制度では29時限に短縮されます。現行と改正後のカリキュラムの比較は次の通りです。
●現行
・学科教習=19時限(第一段階7時限+第二段階12時限)
・技能教習=21時限(第一段階8時限+第二段階13時限)
●改正案
・学科教習=17時限(第一段階6時限+第二段階11時限)
・技能教習=12時限(第一段階3時限+第二段階9時限)
新たな制度では、学科教習を2時限、技能教習を19時限、それぞれ減らしました。
今回は、主に一種免許取得時と重複する項目について統合が図られています。また、地図を記憶して目的地に向かう「経路の設定」(1時限)については、カーナビや配車アプリの普及もあり廃止されました。大型・中型二種においても同様です。
対して、取得のための最低教習日数が半分の短縮になるのは、2024年6月から1日で受講できる上限の時限数が引き上げられていることが関係しています。一種免許を所持している人は、普通、中型、大型二種免許の1日の教習上限が3時限から4時限に引き上げられました。
こうした2段階の規制緩和で、免許制度の側面からも、公共交通の縮小による地方の足の確保や職業ドライバーの担い手不足に対応します。
教習カリキュラムの期間短縮は、2024年6月に閣議決定された「規制改革実施計画」に基づき、2024年度中の結論を目指して進められてきました。二種免許の取得に必要な時限数が短く設定されたことで、教習費用も引き下げられることが期待できます。
ライドシェアの実施で、二種免許の必要性が問い直されたことも、教習の見直しを後押した側面があります。規制改革推進会議では、二種免許を取りやすくするための対策が求められていました。
制度改正についてのパブリックコメントは5月30日までの30日間。