北陸新幹線で最も新しい金沢~敦賀間。途中5駅が設けられた中で、唯一、在来線と接続がない駅があります。
2024年に開業した北陸新幹線 金沢~敦賀間の途中には、小松、加賀温泉、芦原温泉、福井、越前たけふの5駅が設けられています。これらは北陸本線時代の在来線特急「サンダーバード」「しらさぎ」が停車していた主要駅ばかりですが、一つだけ、他の路線と接続がない駅があります。福井県越前市に位置する「越前たけふ」駅です。
越前たけふ駅(安藤昌季撮影)
越前たけふ駅とバスで接続する武生駅は、かつての特急停車駅で、ハピラインふくいに移管された現在も福井県丹南地区の主要駅です。ただ、北陸新幹線はここを通らず、北陸自動車道の武生IC付近に駅を設置したわけです。
越前たけふ駅は、計画時には「南越」駅と呼ばれていました。駅名の決定に際しては、地域間で調整が必要となるものですが、越前たけふ駅の場合も、駅名候補選定委員会が8つの候補を出し、さらにこれ以外に隣接する鯖江市から「越前鯖江」駅にするように求められてもいました。
駅名候補選定委員会は越前市や外部から意見を募り、「越前武生、新武生、越前市、南越たけふ、越前、越前国府」の6候補に絞ります。最終的には「越前たけふ」となりましたが、問題となったのは、福井鉄道福武線に「越前武生」駅がすでに存在することです。これは、越前市が改名費用を負担し、「越前武生」駅が「たけふ新」駅となりました。
ちなみに越前たけふ駅は、JR西日本管内、および北陸新幹線で初めて「ひらがな」を含んだ駅名となっています。
駅構内は地元の工芸品や名物がたくさんでは、現地を紹介しましょう。越前たけふ駅は、相対式ホーム2面2線で、中央に通過線2線を配置した構造です。2階のホームからは建設中のショッピングモールが見えました。高速道路が近いからか、駅前の駐車場はたくさんの車で埋まっており、にぎわっています。
単独駅ではありますが、列車は1時間に1本程度、時間帯によっては1時間2本停車することもあります(上り東京方面の14時台は3本)。
ホームは、越前市が保護対象にしている特別天然記念物「コウノトリ」をモチーフにしたモノトーンのデザインで、雄大さを感じさせます。ホーム上には木製のベンチがありますが、これは越前指物で作られた作品のようです。
ホームから1階の待合室に行くと、巨大な和紙に圧倒されます。菊人形で知られる「武生の菊」をデザインした高さ4.5mの「越前和紙」オブジェクトです。
コンコースの天井には、越前和紙『流し漉き』の技法による動きを表現した照明もあります。柱には、木を組み合わせる「越前指物」の技法で作られた飾りパネルもあります。
駅舎は東口と西口、南口に分かれています。東口は無料のパークアンドライド駐車場に面しています。600台の収容能力を備えても、土日には満車になりやすく、臨時駐車場が設置されるほどの盛況です。南口は駅舎外の東西自由通路に面しています。
西口には交通広場があり、バス、タクシー、一般車の乗降場が設置されています。また、「道の駅 越前たけふ」もこちら側です。
この駅から北陸道の武生ICは500mほどで、北陸新幹線では高速道路のICから最も近い駅でもあります。駅周辺はまだまだ田んぼが多く、ショッピングモールの開業後も相当発展するように感じられました。