ホンダのバイクの中でも販売台数トップに君臨するレブル250。そのルーツとなる初代レブルが発売されたのは1985年のことです。

それ以前は「アメリカン風モデルの完成度が低い」と揶揄されてきたホンダのバイク、それを挽回したのがレブルなのです。

アメリカで教習車に採用も… 本気出したホンダのアメリカン・バイク

 近年、ホンダのバイクの中でも販売台数トップにランクするレブル250。ヒット中の最新モデルはスパルタンかつローファットな進化系アメリカンな印象ですが、その歴史は古く、1985(昭和60)年発売の初代レブルがルーツです。

実は苦節40年!? 超人気バイク「レブル」のスゴさとは? 「...の画像はこちら >>

2017年に見事復活を果たしたレブル250(画像:ホンダ)。

 それ以前は、「ホンダのアメリカン風モデルは完成度が低い」と揶揄されることがありました。初代レブルは、その酷評を挽回するために開発されたという経緯があり、結果的にアメリカでも絶大な支持を得た隠れた伝説のモデルでもあったのです。

 初代レブル登場以前にも、ホンダによる「アメリカン風」モデルは複数存在しました。しかし、いずれも従来のロードスポーツタイプのバイクへ無理にチョッパー気味のハンドルをつけたり、ライドポジションをリア寄りにしたものに過ぎず、いわゆるアメリカンモデルの本格開発には至っていませんでした。

 そんな中で、登場したレブルだったわけですが、特徴的なのは本格的なアメリカンを目指したそのデザインです。作り下ろしたフレーム、突き出したフロントフォーク、ティアドロップタンク、ボブテールなど、それまでのホンダの「アメリカン風」バイクとは雲泥の差とも言えるアメリカンテイストな1台でした。

 この初代レブルも前述のような「ホンダのアメリカン風モデルは完成度が低い」といった先入観からか、当初は「単にシートが低いだけだ」といった酷評もあったようですが、徐々に完成度の高さが認められ、1980年代後半にはレブル250がヒットします。これをきっかけに、各社も同排気量のアメリカンモデルを続々リリースするに至りました。

 また、アメリカに輸出されて以降は、教習車としても採用された経緯があります。つまりは「アメリカンを真似た日本のバイクが、アメリカ人の練習用スタンダードバイクとして認められた」という輝かしい功績を得たモデルだったというわけです。

苦い記憶を払拭するぞ! レブル部品を採用したナイトホーク250

 初代レブル250は様々な派生モデルをラインナップした一方、1991(平成3)年にはナイトホーク250というモデルもリリースします。じつは、これにはホンダのとある「因縁」が関係していました。

実は苦節40年!? 超人気バイク「レブル」のスゴさとは? 「アメリカンもどきホンダ」からの“大逆転劇”
Large figure2 gallery9

1985年、ホンダのアメリカンスタイルモデルとして登場したレブル250(画像:ホンダ) 。

 1980(昭和55)年にホンダホークの250ccエンジンを積んだCM250Tというアメリカンモデルがリリースされましたが、これこそが前述のような「こんなのアメリカンじゃない」という酷評を受けたうちの1台でした。

 この悔しい記憶を根に持っていたホンダは、評価を得たレブルのエンジンやフレームを使い、さらにイタリアの名ブランド・グリメカのキャストホイールを標準装備するなどし、ここで完成度を高めて復活させることにしたというわけです。余談ですが、旧車會系のベースモデルに採用されることも多いのがナイトホーク250で、これはホンダにとっても想定外だったことでしょう。

 肝心のレブル250は、1990年代中盤以降のアメリカンブームの終焉を受け人気が下火になり、1998(平成10)年に施行された「平成10年自動車排出ガス規制」に適合させることなく翌年で生産終了になりました。

 ただし、日本国内での生産終了後も、アメリカ・ヨーロッパ向けの派生モデルの輸出が続き、相応の支持を得続けました。こういったレブルの長い歴史を踏まえ、ついに2016(平成28)年、アメリカ仕様車がフルモデルチェンジを果たし、翌年にはレブルの日本国内仕様車も復活を果たしました。

 日本で新たに登場したのはレブル250、レブル500の2台で、初代の頃のような古典的アメリカンではなく、随分と進化したアメリカンクルーザーモデルでした。

タフでクールな印象に仕上げた外観は、この時代の中型バイクユーザーの心を鷲掴みにし、結果的に、ホンダのバイクの中でも屈指の人気を誇るモデルとなりました。

 最新レブルを前に思うのは、ノーマルでも十分「カッコ良い!」と思えるスタイリングと無骨さながら、その一方で実はユーザーを限定しないところが素晴らしいということ。一見すれば、クセがあり荒っぽそうなバイクにも感じますが、実は原付スクーターよりも低いシート高で足つきが良く、さらにCB250Rと共通の水冷単気筒エンジンを搭載することでクセなく安定した出力を実現。また、前後輪のファットな足回りによって独特の安定した乗り味も楽しめます。

 いわば、「今日の中型バイクユーザーが求める全てを最新レブルが実現した」とも思えるほどです。そして今日の大ヒットを合わせて考えれば、初代以前のホンダの悔しい経験が、初代登場から40年を経て名実ともに見返したのもまたレブルのようにも感じます。

編集部おすすめ