大宮駅東口に発着する緑色の国際興業バスに、異色の車両がデビューします。どのような車両なのでしょうか。
国際興業は2025年5月20日、国産初のEVバス「エルガEV」のお披露目会を、さいたま新都心バスターミナルで開きました。2025年5月21日から大宮駅に発着する路線(大宮駅東口~自治医大医療センター間)などを中心に運行する予定です。なお、運行時刻は同社のホームページで公開されています。
国産初のEVバス「エルガEV」(乗りものニュース編集部撮影)
この「エルガEV」は、一定規模の事業者(バスは200台以上)に対し、2030年度までに保有台数の5%を非化石エネルギー自動車に更新することを求める改正省エネ法に対応すべく導入したとのこと。
まずは1台が大宮駅東口や浦和駅東口に発着する路線バスの車庫となっている、さいたま東営業所に配備されました。屋根上に高電圧バッテリーが搭載されているため、これまでの車両より車高が高く、外観はかなり異なっています。
走行中のCO2(二酸化炭素)排出量がゼロであるだけでなく、車内は最前部から最後部まで段差を無くし、フルフラット化を実現していることが特徴です。また、モーターを発電機としてエネルギーの充電を行いながら減速する回生ブレーキを備えています。
今回の「エルガEV」導入に合わせ、さいたま東営業所には、国際興業と蓄電池事業を手がけるスタートアップ企業のパワーエックスが連携し、EVバス専用としては初となる蓄電池型超急速EV充電器「Hypercharger Pro」を設置。今後、国際興業は運輸事業者向けの商事機能を活かし、自社内で導入するだけでなく、パワーエックスの販売パートナーとしてEV充電器の販売拡大を推進していくといいます。
とにかく静かで滑らかな乗り心地「エルガEV」のお披露目会には、国際興業の黒滝寛 社長やさいたま市の新屋千樹 副市長、いすゞ自動車の石本貴志 フリート営業第二部部長、パワーエックスの森居紘平 取締役EVチャージステーション事業領域管掌らが出席。国際興業の黒滝社長は「大宮駅方面の路線で運行を開始し、更なる導入拡大も検討していきたい」と挨拶しました。

さいたま新都心バスターミナルで開かれた国産初のEVバス「エルガEV」お披露目会(乗りものニュース編集部撮影)
式典の出席者や報道関係者は、さいたま新都心バスターミナル~さいたま東営業所間を「エルガEV」で1往復し、営業所内に設置されたEV充電器を見学しました。
実際に「エルガEV」に乗ってみると、発車する際もほとんど音がなく、とにかく静かという印象。加速も滑らかで乗り心地は上々です。一部の座席は後ろ向きに設置されているため、最後部はボックスシートのようになっています。乗車定員はこれまでの車両より若干少ない(68人)ため、当初は比較的混雑しない路線を選んで投入するといいます。
さいたま東営業所に設置された蓄電池型超急速EV充電器「Hypercharger Pro」は、最大150kwの高出力充電ができ、将来のEVバス車両の受電性能向上にも対応しているそう。現時点では「エルガEV」の受電性能が50kwのため、0%から充電した場合は約5時間ほどでフル充電できるそうです。