トヨタ紡織が、小型水素発電システム搭載のアシスト自転車を公開。この自転車はどのような性能を持っているのでしょうか。
パシフィコ横浜で2025年5月21日から23日まで行われた「人とくるまのテクノロジー展 2025」で、トヨタ紡織が、小型水素発電システム搭載のアシスト自転車を公開していました。この自転車はどのような性能を持っているのでしょうか。また、量産化についての可能性についても聞きました。
トヨタ紡織が開発した水素の燃料電池(FC)技術を活用したアシスト自転車(雅楽次郎撮影)
同車両は2024年8月から、福井県敦賀市と連携し、実証実験を行っている水素の燃料電池(FC)技術を活用した、水素を消費し発電させて走る自転車となります。
特徴なのが、水素を出し続けると水素タンクが冷える性質を利用していることです。このシステムにより発電の際に熱を発するFCスタックの間で水を循環させることで冷却設備などの装備を最小限とし、システム全体の小型化を実現したほか、熱による故障を抑制するなどの利点があります。
バッテリー式の自転車の大きな違いは航続距離の長さということで、ブースの担当者は「200リッターの水素ボンベで、一般的な電動アシスト付き自転車の約倍のエネルギーが得られます」と話します。使用するボンベは、水素吸蔵合金ボンベという特殊な物で、重さは約2.1kgほどです。電動アシスト自転車のバッテリーと比べても、そう重さの違いはありませんので、利点は高いといえます。
ボンベへの水素の補充に関しても、簡易的な充填機を使い新たに水素を入れることで、充電よりもはるかに素早く、使える状態にできることが従来の電動アシスト自転車と違う点とのことです。
ただ、こうした水素式のアシスト自転車が市場で流通するのは、水素社会が実現しないと難しいという側面もあります。
2030年の水素社会実現に向け、国内ではトヨタ自動車や川崎重工などが動いています。その頃には、ある程度のインフラが整っている可能性が高いということで、同社ではその頃に、電動アシスト自転車と勝負できる価格にできることを目指すそうです。

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