「DSEI Japan 2025」の川崎重工業ブースで、大容量ニッケル水素2次電池「ギガセル」を利用した、無人偵察機の運用プランが紹介されていました。
ニッケル水素2次電池「ギガセル」の新活用法?2025年5月21日から23日にかけて開催された大規模な防衛・安全保障の展示会「DSEI Japan 2025」の川崎重工業(川崎重工)ブースで、大容量ニッケル水素2次電池「ギガセル」を利用し、防衛に役立てるプランが公開されました。
会場で公開された無人偵察機のイメージ(斎藤雅道撮影)
川崎重工が公開したプランは、「ギガセル」を車載発射型の電磁(リニア)カタパルトに転用するというものです。このカタパルトの提案に加え、搭載する偵察機のイメージも公開していました。
なお、会場のブース自体は川崎重工として出展していますが、この機体とカタパルトを考えたのは実はバイクやビークルを開発しているカワサキモータースのスタッフということで、今回イメージが公開された無人偵察機は同社のバイクであるNinjaのエンジンが流用される想定で、ほかのパーツもバイクやビークルのパーツと活用することになるといいます。担当者は「同じ大きさのUAV(無人機)よりも安価に作れるようなものになっています」と話します。
カタパルトの電源に使用される「ギガセル」は既に実用化されており、鉄道用の直流電化区間での地上蓄電設備で実績のある大容量電池になります。導入実績もあり、例えば東京モノレールでは、停電時の非常電源として車両を動かすためにも活用されています。
この電池は担当者によると「かなりパワーがある」とのことで、パワーが有り余りすぎて、電車などある程度の大きさの乗りものでないと、使用には適さないとのことです。
そこで考え出されたのが、このカタパルトと無人偵察機です。
リニアカタパルトで使用される電力の供給に「ギガセル」はうってつけだそうで、想定ではトラックでカタパルトレールと電源車、無人機を運ぶ車両に指揮車両を加えた4台体制で動く仕組みになっています。役割としては、空港や飛行機用の滑走路などが攻撃や災害で使用できない場所における、空からの状況把握や支援を行うことが考えられています。
無人偵察機は全長5,8m、翼幅5.6mですが、主翼を回転して、胴体と平行に畳める仕様になっているため、一般的なLサイズコンテナを備えた10tトラックに搭載可能。ほかの装備に関しても同様で、かなり自由な運用が可能とのことです。
なお、今回はあくまで「こういうものができる」という提案ということで、急に実用化するという訳ではないそうですが、既存の製品の流用も多いため、いざ実証試験をやるとなった場合、その後のプロセスは手早く進められそうです。

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